2013 Fiscal Year Research-status Report
脳機能からみる日本人英語学習者の英語文学読解プロセスの特徴の研究
Project/Area Number |
24652126
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
西原 貴之 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (50469590)
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Keywords | 英語文学読解プロセス / 英語詩読解プロセス / 日本語詩読解プロセス / 文学を使った英語教育 |
Research Abstract |
本研究は、脳機能計測装置を用いて、日本人大学生英語学習者の英語と日本語における文学読解プロセスと説明文読解プロセスを調べ、大学における英語文学教材読解指導モデル構築のための基礎となるデータを得ることを目的としている。25年度においては、以下の作業を行った。 まず、24年度中に精読した先行研究の総括を行い、調査対象とする脳の部位を確定した。 次に、調査材料の選定と作成を行った。具体的には、調査中の課題で用いる英語詩、日本語詩、英語説明文、日本語説明文の選定と、調査参加同意書等の関連書類の作成を行った。 同時に、調査における検討項目に若干の修正を行った。本研究では、(1)学習者はテクストのジャンルに応じて異なった読解処理を行っているのか、(2) 日本語と英語で読解プロセスは異なるのか、(3) 英語力によって英語文学読解プロセスは変化するのか、という3点を検討する予定としていた。しかしながら、脳機能計測装置のレンタル料金の値上げによって、(3) については今回断念することとした。その代わり、(1) と (2) に関してより正確で多角的な調査を実施することとし、新たに視線計測装置も使用することを決定した。このことにより、学習者はテクストのどの語を見ているときに、脳のどの部位が賦活しているか対応づけることが可能となる。 最後に、脳機能計測装置と視線計測装置を併用した上での調査手順を確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の具体的な目的は、(1) 学習者はテクストのジャンルに応じて異なった読解処理を行っているのか、(2) 日本語と英語で読解プロセスは異なるのか、(3) 英語力によって英語文学読解プロセスは変化するのか、という3点を調べることであった。(1) に関しては、①文学読解プロセスと説明文読解プロセスの特徴の整理、②調査材料の選定、③調査方法の確定、④調査の実施と分析、の4つの作業が必要である。(2) に関しては、母語と外国語での読解プロセスの違いの整理、②調査材料の選定((1) の②と共通)、③調査方法の確定((1) の③と共通)、④調査の実施と分析((1) の④と共通)、の4つの作業が必要となる。なお、(3) に関しては、すでに【研究実績の概要】の箇所で述べたとおり、予算等の関係から本研究では断念することとした。 まず、25年度は、24年度中に終えることができなかった(1)①と(2)①の総括、及び(1)(2)②を終えることができた。 また、当初は(1)(2)の③④を25年度中に終える予定としており、そのために③について検討を行っていた。しかし、(3)を断念して新たに視線計測装置を調査に用いることを決めたことにより、③を修正する必要が出た。25年度中に③の修正案を作成することができた。 以上の状況を総合的に鑑みて、「(2) おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度8月前半に、脳機能計測装置と視線計測装置を併用する形で (1) 学習者はテクストのジャンルに応じて異なった読解処理を行っているのか、(2) 日本語と英語で読解プロセスは異なるのか、という点について調査を行う。それまでに、業者との最終的な調整及び調査参加者の募集を行い、スムーズに調査を実施できるよう計画的に作業を行っていく。 また、26年度8月後半よりデータの分析を進め、上記2点の検討課題に関して結果を明らかとし、研究の総括を行うこととする。また、学会等での成果発表についても順次行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定では、25年度に (1) 学習者はテクストのジャンルに応じて異なった読解処理を行っているのか、(2) 日本語と英語で読解プロセスは異なるのか、という2点について調査を行い、26年度に (3) 英語力によって英語文学読解プロセスは変化するのか、ということを調査する予定であった。 しかしながら、調査機器のレンタル料が値上がりしたため、2回に分けて調査を行うことが金銭的に不可能となった。そこで、今回は (1) と (2) のみを調査する形に研究計画を変更し、更にこれら2点の調査に視線計測装置を使用することを新たに決めた。25年度は、新たな調査計画の練り直しに時間を費やしたため、上記の使用額が生じている。 26年度の8月頃までに、脳機能計測装置と視線計測装置を併用する形で、 (1) 学習者はテクストのジャンルに応じて異なった読解処理を行っているのか、(2) 日本語と英語で読解プロセスは異なるのか、という2点について調査を行う予定としている。 26年度に新たに交付される直接経費と前年度までの残高を合わせる形で、調査機器のレンタル料、調査参加者への謝礼、調査アシスタントへの人件費をまかなっていく予定としている。調査終了後は、調査結果の分析と研究の総括を行う予定としており、このことに伴う関連経費(文具等)に対しても研究費を使用する予定である。
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