2012 Fiscal Year Research-status Report
小学校英語活動のための日本語力育成:相乗効果を目指すカリキュラムの構築に向けて
Project/Area Number |
24652129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 寛子 北海道工業大学, 未来デザイン学部, 准教授 (60347755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚越 久美子 北海道工業大学, 高等教育支援センター, 准教授 (00405656)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英語教育と国語教育 |
Research Abstract |
平成24年度においては、まず、小学校の国語教育、及び英語教育の実態を知ることを念頭において調査、研究を進めた。具体的には文献を読み、小学校の授業や研究会、学会に足を運ぶと同時に、教員へのインタビュー調査を実施した。そこでは、まとまった量の文を使って何かを論ずる力の育成が必要であることが見えてきた。これについては、実用英語教育学会に論文として提出した。 また、札幌市の小学校で採択されている光村図書の国語の教科用図書を分析対象として、英語教育と関連づけると良いと思われる項目を抽出した。対象学年は、外国語活動が必修化されている5、6年生である。その結果、以下の点に注目した。 5年生では、『豊かなことばの使い手になるためには』で取り上げられているように、「意見を先に、理由を後に話す」こと、『話し合うために大切な言葉』にある「たずねる言葉、理解したことを伝える言葉、話に区切りをつけて次に進める言葉を使う」こと、『身近な例に置きかえながら読もう』や『すいせんします』で示されている「ブレインストーミング」の手法を活用すること、の3点である。最初の2点については、会話をスムーズに進めるために役に立つもので、ぜひ英語でも習得させたい表現である。ブレインストーミングは、まとまった量の発話を要求されるようになったときに、その組み立てを考える際に有効であり、早い段階で母語での活動に慣れさせる必要があると考えたからである。同様に6年生では、『私と本』で扱っている、「一つの事柄について深く考え、それをまとまった量の文章で表現すること」、に着目した。5年生で習った、区切りをつけて次に進める言葉や、ブレインストーミングの知識がここで生かされ、さらにこの母語でのトレーニングが外国語学習に生かされるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国語力と英語力の相乗効果を期待して、その可能性を探るのが本研究の目的であるが、何に着目して「国語力」・「英語力」と呼ぶのかについては、まだ曖昧である。そこで外国語学習にも応用できると思われる項目を、国語の教科用図書から洗い出したが、今回は、文章作成能力に焦点を当てた。日本語の知識を駆使してまとまった量の文章を書くことにより、情報の単なる羅列ではなく、相手にわかりやすく伝えるための構成力が身につき、その能力は外国語で自己表現する際にも必要であると考えたからである。 残念ながら、当初予定していた研究協力校が他の研究依頼も引き受けており、その比重が高くなってしまったため、外国語活動での国語教育の導入までは実現しなかった。明確に国語教育の要素を学習者に意識させるような授業展開はできなかったが、その分、具体的に小学校英語のゴールとそのために身につけさせたい国語力が見えてきたのは、成果であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究から、小学校5、6年生の国語と、Hi, friends!を使った外国語活動のカリキュラムとつきあわせ、指導の可能性を追求する必要性が見えてきている。単に表現を覚えるだけではなく、ある程度表現を学習してきたら、それらを自分なりに組み合わせて言えることが必要ではないかと考える。それには、母語での経験が生かされるはずである。 小学校の外国語活動において、まとまった量の英文を作れるようにする、というゴール設定をし、そこに至る流れを考える。外国語学種の中で、国語の教科用図書でも紹介されているブレインストーミングを取り上げるようにしたり、「それから」や「次に」と言ったような区切りをつけて次に進める言葉をclassroom Englishとして指導者が使っていくことで慣れさせることが可能であると考える。これらについては、現場で働く小学校の教員らと対談する時間を持ち、意見を聞く時間を持ちたいと考えている。今年度は小学校との結びつきをさらに密にし、情報交換の場を多く持つ予定である。 また、国語教育と外国語教育を関連づけた指導のありかたを探るために、日本語話者の母語での文章と英語での文章を比較、検証する予定である。研究対象者は、筆者が勤める大学の学生である。「英語」の授業では英語で、「文章表現」の授業においては日本語で自己紹介文を書かせ、その内容や文の構成、ことばの選び方などに注目し、比較する。 研究を進めながら、今年度は学会発表や論文投稿などもしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会での発表や、小学校の教員と連携を持ち、意見交換を行うための旅費。その他、文献購入など。
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Research Products
(2 results)