2014 Fiscal Year Annual Research Report
「帝国」としての徳川日本と東北アジア―支配領域と商品生産・流通・消費の空間構造―
Project/Area Number |
24652138
|
Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
藤田 加代子 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (90454983)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 近世史 / 帝国論 / 徳川日本 / 蝦夷地 / 琉球 / 貨幣 / 繊維製品 / 海産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
助成最終年度にあたり、以下を重点的に実施した。:過去の二年度に引き続き、(1)国内・海外所在の史資料の収集とデータ整理。(2)近世国家に関する理論的論考と世界の物質文化に関する先行研究の精読と整理。さらに(3)中間報告となる英文報告の執筆と国際会議における研究発表。 まず史資料収集について、英国博物館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)と長崎歴史文化博物館において、江戸時代の主要な輸入品(テキスタイル、貨幣鋳造材料である各種金属)の調査を実施した。その結果、実態が不明だった18~19世紀前半の輸入金について、実物に基づいてある程度の類型化を行なうことができた。また、先行研究で使われていなかった一次資料を用いて1847(弘化四)年までの鋳貨素材の輸入量を特定した。 年度後半はカリフォルニア大学ロサンゼルス校に滞在し、グローバルな近世(16~18世紀)における国家の諸類型、国家と経済の関係、貿易と物質文化のあり方について、他地域の専門家らと理論・実証の両面について意見を交換した。また北米の博物館において、テキスタイル・宝飾品と貨幣・絵画資料など、物質文化の変容を探るうえで欠かせない史資料を実見した。 研究成果の発表については、これまで得た萌芽的な知見を学会の場で議論することを重視した。まず第14回ヨーロッパ日本研究協会国際会議において「東アジアの小帝国としての徳川日本」という本研究の骨組み部分の構想について報告した。また第4回アジア経済史国際会議では、長崎という対外関係の重要な窓口における、中央権力の対外政策に包摂されない在地や貿易関係者の私的商行為を論じた。さらに国際会議「ユーラシア東南部における比較と関連」において、徳川日本の南北フロンティア(蝦夷地・琉球)における海外向け商品生産と国内経済との関係を論じ、同時期の東・東南アジア諸国との比較を行なった。
|
Research Products
(6 results)