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2012 Fiscal Year Research-status Report

地震災害と資源収奪による世界遺産白神山地の景観と環境の変容

Research Project

Project/Area Number 24652140
Research InstitutionHirosaki University

Principal Investigator

長谷川 成一  弘前大学, 人文学部, 教授 (20013287)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords世界遺産 / 白神山地 / 流木 / 粕毛川 / 洪水 / 乱伐 / 地震動 / 地盤
Research Abstract

①世界遺産白神山地の森林資源・鉱物資源の歴史的な獲得状況に関して、弘前藩・秋田藩の歴史資料を主に調査・収集した。なかでも、18世紀末から19世紀初頭にかけて、弘前藩では、領内森林において深刻な切り尽くし、所謂森林資源の枯渇に直面することになった。鉱物資源も同様で、白神山地に所在の領内最大鉱山であった尾太銅鉛山では、18世紀末には休山→廃山の状況に至り、藩内あげて資源復活の方策をとらざるを得なくなった。その過程を歴史的に明らかにすることによって、近代に向けての白神山地の歴史的状況を把握する見通しが出てきた。加えて18世紀末に白神山地の地域を襲った、寛政西津軽地震についても、種々資料を収集し、論文を作成した。
②秋田県側白神山地の粕毛川流域の森林からは薪材が盛んに伐出され、樹木が枯渇する山もあった。秋田県公文書館所蔵の年代不詳ではあるが、近世期の山絵図である「山本郡藤琴沢之絵図」を見ると、粕毛川流域の小沢場内沢(長場内沢)に土砂崩れが起きたと思われる場所が記されている。旧秋田営林局が作成したこの地域の国有林の施業案説明書には、粕毛川の洪水による水害被害は甚大である記されており、同川は洪水が起きやすい川であったことがわかる。こうしたことから、近世において乱伐による洪水によって沢の土砂崩壊があったと推測できる。
③17世紀末から18世紀にかけて北東北の日本海沿岸で連続して起きた地震の際に,被害が報告された地点の現地調査を行い,地形や微小振動の振動計測結果を踏まえて地盤条件を検討した.その結果,被害が報告された地点の多くは段丘上に位置し,地震動から見ると良い地盤であることが分かった.併せて白神山地南側および西側の集落にある地震観測点の状況も調査し,地盤状況を確認した.この調査の結果を踏まえ,歴史地震の位置と規模を再考する予定である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「研究の目的」に掲げた、史資料の調査をほぼ終えており、収集資料の整理・分析も順調に進めている。加えて、本テーマに即した、研究発表や論文を発表していることから、成果も充分に上げていると考える。

Strategy for Future Research Activity

予定した史資料の調査と収集は、研究協力者とともに一部を除いておおかたは終了していることから、今後は収集した史資料の整理と分析を細密に行い、論文などに反映する予定である。さらに、整理・分析と平行して未収集資料の補充調査と、フィールドワークを行うことで、歴史資料で実証できた部分との齟齬について明らかにし、白神山地における森林資源と鉱物資源の近現代に至る獲得状況をいっそう明確にしてゆくつもりである。
白神山地において起こった地震災害については、18世紀末の寛政西津軽地震を取り上げて実態を明らかにしたが、秋田領側の資料発掘と実態解明が進んでおらず、この点を明確にして、世界自然遺産における災害問題に見通しをつける予定である。
最終年度である本年度には、当研究において得た成果を集成して、著作物として刊行する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度の史資料の調査と収集成果をとりまとめるとともに、さらに整理・分析を行うことで、所期の成果を十全に獲得するように努める。その際、補充調査として、弘前市立図書館、青森県立図書館、秋田県公文書館、東京大学附属図書館、筑波大学附属図書館などの調査も必要となってくる。地震災害関係としては、東京大学地震研究所も調査の対象となるであろう。
収集した史資料の整理と分析に、謝金が必要であり、かつそれらを保存するフアイル類も購入の予定である。
また、研究成果を著作物として刊行するのに、原稿整理や校正に精通した補助者への謝金が必要であり、出版に拘わる経費も必要となってくる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 寛政西津軽地震(1793)の被害と地形変化2013

    • Author(s)
      白石睦弥・長谷川成一
    • Journal Title

      弘前大学國史研究

      Volume: 134 Pages: 1-13

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 林業と江戸2013

    • Author(s)
      脇野博
    • Organizer
      江戸遺跡研究会
    • Place of Presentation
      東京都
    • Year and Date
      2013-02-02
  • [Presentation] 近代秋田の国有林と白神山地のブナ2012

    • Author(s)
      脇野博
    • Organizer
      秋田大学史学会
    • Place of Presentation
      秋田市
    • Year and Date
      20120422-20120422

URL: 

Published: 2014-07-24  

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