2013 Fiscal Year Annual Research Report
地震災害と資源収奪による世界遺産白神山地の景観と環境の変容
Project/Area Number |
24652140
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長谷川 成一 弘前大学, 人文学部, 教授 (20013287)
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Keywords | 白神山地 / 世界遺産 / 弘前藩 / 流木 / 乱伐 / 洪水 / 地震動 / 地盤 |
Research Abstract |
①世界遺産白神山地の森林資源・鉱物資源の歴史的な獲得状況に関して、弘前藩・秋田藩の歴史資料を主に調査・収集した。 弘前藩では、18世紀末に白神山地を流木(ながしぎ)と呼ばれる薪材の供給地として位置づけた結果、伐採が進んで森林の深刻な切り尽くし、いわゆる森林資源の枯渇に直面した。鉱物資源も同様で、領内最大鉱山であった白神山地の尾太銅鉛山では、18世紀前半に大坂の住友泉屋と連携した津軽領の山師足羽次郎三郎による積極的な開発によって最大量の鉱産を見ることになった。しかし坑道の水没と掘り尽くしによる鉱産の減少から、資源の枯渇は著しかった。このように白神山地の各資源をめぐる歴史的な動向と実態を、本研究では明らかにし、代表者は研究の最終年には上記の研究の成果を著書として刊行した。 ②秋田県側白神山地の粕毛川流域の森林からは薪材が盛んに伐出され、樹木が枯渇する山もあった。秋田県公文書館所蔵の年代不詳ではあるが、近世期の山絵図である「山本郡藤琴沢之絵図」を見ると、粕毛川流域の小沢場内沢(長場内沢)に土砂崩れが起こる場所が記されている。旧秋田営林局が作成国有林の施業案説明書には、粕毛川の洪水による水害被害が記されており、同川は洪水が起きやすい川であったことや、近世において乱伐による洪水によって沢の土砂崩壊があった事例を発掘し、そのメカニズムを解明した。 ③17世紀末から18世紀にかけて北東北の日本海沿岸で連続して起きた地震の際に、被害が報告された地点の現地調査を行い、地形や微小振動の振動計測結果を踏まえて地盤条件を検討した。その結果、被害が報告された地点の多くは段丘上に位置し、地震動から見ると 良い地盤であることが分かった。併せて白神山地南側および西側の集落にある地震観測点の状況も調査し、地盤状況を確認した。
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