2012 Fiscal Year Research-status Report
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24652143
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
仁木 宏 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (90222182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 直文 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (80234219)
三田村 宗樹 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00183632)
山口 覚 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70191228)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大坂城 / 石垣 / 地中ボーリング / レーダー測量 |
Research Abstract |
(1) 大阪城本丸周辺における地中ボーリング調査資料を検討した。①大阪城天守閣に保管されているボーリング調査資料(1973年以降調査)を分析することで、それぞれのボーリング地点における石垣の深度を分析した。焼土層の存在についても一部で確認できた。②大阪市が昨年実施した地中ボーリング調査資料も入手し、現在分析中である。 こうした調査・分析を通じ、現在の大阪城天守閣ならびに南側広場に周辺を中心に、二ノ丸、三ノ丸地区についての地形復原を行った。その結果、地表面下すぐに存在する徳川期大坂城については、天守台のみが突出して盛り上がっているのに対し、本丸部分は広大なフラット面が広がっていることが確認された。これは現地形にほぼ即応する。このフラット面の築造にあたっては、数十センチから十数メートルにおよぶ盛り土がなされていることも確認された。その下に豊臣期大坂城が存在する。その地形は、徳川期とは異なってかなり複雑であり、本丸も数段の段状に盛り上がってゆくことが判明した。また徳川期には完全に埋め尽くされてしまった巨大な堀跡や、二ノ丸から本丸地区に入る部分の地形のくびれなどについても確認された。 復原された地形は、中井家などの絵図によってこれまで予想されてきたものに一致する。従来は平面でしか認識されていなかった地形が、三次元でイメージされるようになったことは大きな成果である。 (2)大阪城本丸石垣のレーダー測量資料を整理・分析し、詳細な石垣形状図を作成した。 (3)こうした工学的な調査成果を、文献史料、発掘調査成果などと照合することによって、豊臣期・徳川期大坂城の城郭・建物構造を解明する基礎作業を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先端的に研究成果を公表する研究集会を実施した。 「大阪城を解剖する 地下・石垣・建物 ―新技術による復原の試み―」(2012年6月23日(土)13:30~16:30/大阪市立住まい情報センター 5階研修室) 報告)三田村宗樹「大阪城の地盤構造の再検討―地中レーダ探査とボーリングデータを用いて」/岸本直文「大阪城本丸の現状記録・御殿探査・石垣調査の試み」など。 従前から実施している共同研究の成果を報告するとともに、本研究課題の分析取り組みをスタートアップさせる有意義な催しであった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成24年度の成果を基礎に、新しい資料対象、新しい地点の解析、測量を進める。 (2)研究成果の総括ならびに公開を行う。 (3)本年度、大阪市が実施する、天守閣前広場における豊臣期石垣発掘調査に協力し、豊臣期大坂城の実像解明に尽力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)大阪城天守閣周辺における地中レーダー探査を6月、9月に、それぞれ連続する3日間、実施する。(2)大阪城本丸周辺における地中ボーリング調査の再検証をつづける。(3)大阪城本丸石垣のレーダー測量と成果の収集。(4)研究成果を公表するため研究者・市民向けのシンポジウムを開催する。
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