2013 Fiscal Year Research-status Report
近代タイ・中国経済関係に関する基礎研究―無朝貢・無条約下の貿易問題
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24652147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 順子 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70234672)
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Keywords | 朝貢 / 条約 / シャム / 中国 |
Research Abstract |
本研究は1854年から20世紀初頭に至る約半世紀間におけるタイ(シャム)と中国との経済関係について、「無朝貢・無条約」という正規の外交関係なき条件に着目し、両国間の経済的関係の実態と貿易や移民の拡大にともなって派生した諸問題に対する双方の対応を、タイ側の史料を軸に、中国側等の史料を照らしあわせながら検討することを目的としている。本年度における調査と研究成果は以下のとおりである。 (1) 前年度に引き続き19世紀半ばから20世紀初頭のシャムの対中国経済関係に関する先行研究、および公刊されている資史料を収集・整理した。 (2) 前年度収集した対中国貿易や移民の状況や関連して生じた問題に関する資料を整理して検討を進めた。これまであまり注目されてこなかったポルトガル臣民をなのる中国人の経済活動についてこれまでに得られた史料を整理検討するとともに、対応するシャム側の史料を系統的に検討した。 (3) 前年度に引き続き19世紀後半から20世紀初頭のバンコクにおける対外交易に関わる統計的情報とそれを利用した研究を確認した。また欧米との条約の隙間を縫って、中国からの密輸品や輸入品の密売が行われて問題になっていた状況やいわゆる秘密結社の種々の経済活動への関わりについて集中的に史料を検討した。 (4) 19世紀末から20世紀初頭のシャムにおける特定商品の密輸や密売にかかわるトラブルについて、警察や裁判の史料の一部をまとめて国際ワークショップで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・タイの政治的混乱により予定した資料調査に若干の遅れはみられたが、移民や貿易など経済活動に関する基本的資料を収集することができた。 ・収集した史料の一部を分析して、国際ワークショップにおいて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、資料の収集と分析を実施しつつ、分析結果をまとめ、和文・英文の論考として発表すべく準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・バンコクにおける急激な政治情勢の変化と治安の悪化により、資料調査・収集の日程調整を行う必要が生じた。 ・資料調査期間を当初の予定より延長し、貿易や移民にかかわる基礎データの収集を継続しておこなうとともに、裁判記録など経済活動の具体的実態にかかわる史料を検討する。 ・研究成果をまとめて英文・和文論文として発表する準備を進める。
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