2013 Fiscal Year Annual Research Report
回転施文の特質から導く縄紋の同定研究-同時期製作の土器を特定するための基礎研究-
Project/Area Number |
24652157
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
宮原 俊一 東海大学, 文学部, 講師 (50297206)
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Keywords | 土器 / 縄紋 / 縄文 / 原体 / 同定 / 弥生時代 / 方形周溝墓 |
Research Abstract |
本研究は、複数個体の土器に同一原体によって施文された縄紋を特定することで、土器製作における同時期性を実証することを目的としている。対象とした資料は南関東弥生時代後期の壺形土器であり、装飾として残されている縄紋を個体間で比較した。 初年度は200個体の分析対象を目標としたが、目標値を大きく下回ったことから、次年度は分析資料の選定基準に改変を加え、さらに分析方法も改良することで、当初の目標値に近づくまで資料選定を継続した。その結果、実見調査で除外した資料についても、あらためて分析する余地が生まれ、最終的に215個体の壺形土器の撮影・分析を行うことができた。 比較同定の方法については、デジタルカメラで接写撮影したイメージをパーソナルコンピュータのモニター上で大分類し、その後、拡大画像(10倍・20倍)を写真用紙とOHPフィルムのそれぞれ印刷し、後は絵合わせの要領で縄紋を個体間で比較した。拡大画像における比較では、縄紋の形状や大きさ(「節」の大小)はもとより、「節」内部の繊維配列や特徴的な繊維痕跡などを根拠として、同一原体による縄紋を特定していった。 分析の結果、22個体(2個体間8組、3個体間2組)の土器について、同一原体による縄紋が認められ、それぞれの組において同時期に製作がなされた土器であることを明らかにすることができた。さらに、対象を方形周溝墓出土資料の他、住居址出土の資料にも求めることで、日常什器としての土器と副葬品(方形周溝墓出土)との関連を再確認することもできた。 また、弥生時代後期に使用されていた縄紋原体を「撚りの段数」「撚りの方向」で整理することで、当該時期の土器施文でもっとも通有の原体を明らかにすることができた。
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