2013 Fiscal Year Research-status Report
タイをめぐる3つの国際人口移動-送出地と受入地での移動者とその家族のミクロ分析-
Project/Area Number |
24652161
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中川 聡史 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10314460)
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Keywords | 国際人口移動 / 国際結婚 / 退職移動 / タイ / ラオス / ドイツ / 日本 |
Research Abstract |
3年間の研究期間の2年目にあたる今年度はタイからドイツへの国際結婚移動についての実地調査をおこなう予定であった。大学の業務が多忙でまとまった期間を海外調査に充てることができず、当初予算110万円のうち、50万円を次年度に繰り越すことになった。海外調査を実施できなかった分、国際結婚移動に関する文献の収集、既存研究の整理をおこなった。近年の国際人口移動(Transnational migration)の研究動向から、国境の意味を再確認すること、実際の移動者だけでなく、移動者の出身国における移動者の家族、目的国における配偶者のめぐる問題に十分な考慮をすることの必要性があきらかになった。 一昨年度におこなったラオスからタイへの国際労働移動の研究については2013年9月に再調査をおこなった。その結果、村の全世帯の約7割で、1人以上の世帯員をタイに送り出していること、村人はタイで特定の地区に集住し、ほぼ全員が合法的に工場で労働していること、村への送金については村を代表する女性(ラオス婦人同盟のメンバー)が村の対岸、タイの都市ムクダハンに銀行口座を持っており、手数料3%を取って、村人の送金を代行していることを確認した。調査を深めるにしたがって、村のTransnationality(出稼ぎを通じての海外との結びつきの程度)は当初の予想よりも高いことがあきらかになった。 次年度に向け、国際引退移動に関する文献の整理も進めている。本プロジェクトでは日本からタイへの国際引退移動を対象としているが、日本からの国際引退移動研究はマレーシアに向かう移動で先行していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来、今年度におこなう予定であったドイツ人と結婚したタイ人女性に対するドイツでのアンケート調査、インタビュー調査が大学の業務多忙で出張の日程がとれず、実現しなかった。ドイツでの調査は次年度に実施の予定であるが、この点で当初の計画にくらべて進行状況がやや遅れている。他方、各種国際人口移動に関する文献の収集と整理は計画通り、あるいは計画以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である来年度は、ドイツにおいて国際結婚移動の実地調査をおこなうともに、タイにおいて日本からタイへの国際引退移動の実地調査をおこなう計画である。そして、3年間の研究を整理し、タイをめぐる3つの国際人口移動に関するTransnationalityの比較をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
時間的制約により、今年度に予定していた海外調査が実施できなかったため。 2013年度に予定していたドイツのでの実地調査を2014年度に実施する。
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Research Products
(5 results)