2012 Fiscal Year Research-status Report
ボランタリー部門の子育て支援活動によるまちづくりの可能性と地域的条件に関する研究
Project/Area Number |
24652162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
由井 義通 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80243525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 芳樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70191723)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子育てひろば / 保育 / ボランタリー部門 / 子育て支援 / 郊外住宅団地 |
Research Abstract |
本研究は,ボランタリー部門が担う子育て支援活動に着目して,全国の「つどいの広場」のデータベース化を行った上で、事例地域を選定し、その運営・利用実態を調査・分析する。これによって、子育てによるまちづくりの可能性とそのための地域的条件を明らかにすることを目的とする。平成24年度は、初年度であるため,研究のベースとなる全国の子育てひろばのデータベース化とそれをもとにした事例調査について研究を実施した。 (1)全国の「つどいの広場」事業のデータベース作成と地図化については,厚生労働省とNPO法人子育て広場全国連絡協議会には,全国の「つどいの広場」事業に関する個別の詳細情報が無かったため,厚生労働省と子育てひろば連絡協議会から得たリストを元にデータの照合を行うとともに,都道府県や市町村の福祉関係の資料からデータベース化した。それを用いてGISによる地図化を行うとともに、類型化と地域的分布の特徴を分析を試みた。 (2)大都市郊外地域の事例調査として,神奈川県横浜市と大阪府和泉市をとりあげて子育てひろばを数カ所訪ねて聞き取り調査を実施した。横浜市においては,現在25カ所の広場が開設されており、NPO活動も活発でボランタリー部門と行政との連携が円滑に行われている地域の事例となる。そのなかで,郊外地域において積極的な事業展開をしている「びーのびーの」に聞き取り調査を行った。大阪府和泉市鶴山台の子育てひろばに聞き取り調査に行ったが,そこでは利用経験のある母親達によるボランティア的な活動を継続しており,子育てによるまちづくりへの展開がみられた。 調査を実施した事例については、利用者へのアンケート調査の許可をいただいたので平成25年度にアンケート調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子育てひろばのデータベース化を試みた。全国子育てひろば連絡協議会から得た全国の子育てひろばの資料では全国に3000以上,厚生労働省に届けられた子育てひろばは約2000あり,住所が一致する同一施設であっても名称が異なるなどの施設が多かったために,名称と住所を照合して,さらには保育内容もチェックしてデータベースを作成する膨大な作業については終えることができた。この作業が大幅に時間を要しすぎた。 大都市圏郊外地域における子育てひろばは,東京都多摩市などの全国的にも活発に展開されているが,なかでも横浜市では行政が積極的に支援することによって他の自治体が視察に訪れるほどの事業展開となっているので,横浜市の郊外地域における子育てひろばのスタッフへの聞き取り調査が実施でき,さらには子育てひろば利用者へのアンケート調査の許可を得たことは本研究にとって非常に大きなことであった。 ただし,予定していた待機児童問題が深刻な大都市圏での調査は,東京都の行政への聞き取りだけになってしまい,都区部中心部における子育てひろばの現地調査ができなかった点が反省点であるので,次年度に挽回したい。また,地方都市における子育てひろばについては,施設の閉鎖と新設が非常に多く,実態の解明が困難であったが,電話による確認作業を追加し,ほぼ全国を網羅した子育てひろばのリストを作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は大都市郊外地域においてボランティアベースで運営されている子育てひろばを調査したが,今後はその比較対象として大都市内部,地方都市を対象にした事例調査を実施予定である。大都市圏郊外地域においては保育施設が不足していることによる保育難民が問題となっているが,地方都市においては施設数は数的に十分満たされているものの,保育時間などの制約が大きいために,結果として保育が困難な児童が多数みられる。本研究では子育て問題の地域的格差の実態を明らかにするために,地方都市の事例として、長野県飯田市と香川県高松市をとりあげる。奈良市は市の外郭団体が中心となって全国の自治体では最も多い広場を開設しているので,その経緯と利用実態を調査する。一方、大都市中心部については、東京都区部と京都市をとりあげる。東京都区部の中でも都心部、都心周辺部、周辺部で地域特性は異なるが、都心回帰による子育て世代の流入により保育ニーズが高まっている江東区と、NPO活動が活発な世田谷区を主たる対象にする。京都市については,大半の広場が児童館に設置されている点で、他の自治体とは異なる特徴があるため、既存の公的施設を有効利用した事例としてとりあげる。 これらの事例について、各自治体での既存の子育て支援・保育サービス活動を調査するとともに、施設を訪問してスタッフから聞き取り調査を行い、許可が得られれば利用者へのアンケート調査を実施する。また、各地域の地域特性を把握するために、国勢調査等のデータをGISで地図化して分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)