2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本文化における道教受容解明のための芸能に見る道教的要素の抽出
Project/Area Number |
24652169
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
樹下 文隆 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (70195337)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 民俗芸能 / 古典芸能 / 道教 / 国文学 / 禅文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
芸能の実地調査としては、広島県廿日市市の厳島神社桃花祭舞楽と菊花祭舞楽、奈良県奈良市の薬師寺花会式、大分県豊前市の求菩提山国玉神社お田植祭を検分した。また、国立能楽堂、喜多流大島能舞台、厳島神社能舞台、九州国立博物館等で能楽や神楽鑑賞した。また、芸能を含んだ信仰の場の全体像の把握のため、厳島及び弥山、宝満宮竈山神社及び宝満山、求菩提山、薬師寺初め南都寺院の位置関係等を実地検分した。 文献調査としては、国立国会図書館、国立能楽堂、東京国立博物館、国立公文書館、九州国立博物館、奈良国立博物館、金沢市立玉川図書館近世史料館、神戸女子大学古典藝能研究センター等に赴き、古典籍や絵画資料等を調査した。 以上の施設・場所及び中世文学会、芸能史研究会、能楽学会等の学会・研究会の席上で、研究者や出演者及び関係者と情報の交換・収集を行うことができた。 以上の調査及び情報収集により、研究の主軸の一つを寺院芸能、とりわけ鎌倉・南北朝期までに成立したものと室町後期以後のものとの比較検討、あと一つを田植・田楽等を含む室町後期以後の神事芸能における詞章の検討に置くことが有効であると考えるに至った。また、一昨年度の研究では院政期から室町期における地方舞楽の展開、昨年度の研究では室町後期禅林文化の展開と流布が重要なテーマであるとの認識を得た。これらについては、道教的要素の抽出以前の作業として宋元明文化の日本的受容の解明を行う必要がある。したがって、以降の調査・研究はもっぱらこれまでに蓄積した映像資料を参考としながらも、文字資料の解読と比較検討によることになるので、特にこのテーマで科研費を申請すべきほどの費用は発生しないと思われ、挑戦的萌芽研究の目的は達成できたと考えている。現在、院政期から中世にかけての舞楽に関する調査・研究を遂行中であり、今年度末には研究成果を宮島学センター年報で発表する予定である。
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Research Products
(2 results)