2012 Fiscal Year Annual Research Report
公益的活動を担う新たな組織形態とその課税のあり方に関する研究
Project/Area Number |
24653006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 登 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70622257)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 社会的企業 / 立法政策 / 税制措置 |
Research Abstract |
1.近年、諸外国では、社会貢献など一定の公益性を有する活動を目的とし、剰余金の分配制限など一定の規律を有する新たな法人(いわゆる社会的企業)制度等の整備が進んできたが、その枠組みと課税のあり方については、各当該国の歴史的経緯や社会的背景に基づき相当の幅が見られる。 2.例えば、英国は、既存の法人格に一定の規律を付加するが、特に直接的な税制上の優遇のない新たな法人制度(CIC)を創設したが、米国では、既存の有限責任会社に内国歳入法上の優遇対象となる一定の公益性に係る規律を付加する方式の新たな法人制度(L3C)がバーモント州を始めとする幾つかの州で導入され、徐々に拡大しつつある。一方、韓国は、社会的企業育成法に基づき、政府が、社会的企業育成支援計画の下、一定の基準を満たす既存の各種法人等を認証し、財政上及び税制上の支援を実施するという方策を採っている。なお、価値観の多様化に伴い、必ずしも利潤追求を目的としない利他的要素を有する様々な社会的ニーズに応える事業を行うため、寄付や補助金に限らない多様な資金調達が可能な法人制度の必要性が高まっている点は総じて共通している。 3.今後、仮に、我が国で類似の法人制度が検討される場合には、①既存の関連法人制度等と整合的であること、②新たな法人格を付与する方式か、既存の法人等の中から一定の規律を満たすものを公的に認定する方式かを問わず、その主な法的効果については、名称独占以外に、(a)寄付に限らない多様な民間資金からの資金調達が可能となる一定の規律の確保が重要となる他、(b)税制上の取扱いと一体的に検討することが重要である。
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Research Products
(1 results)