2013 Fiscal Year Research-status Report
法教育の一環としての法の文化と歴史に関する教育の研究
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24653026
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上田 理恵子 熊本大学, 教育学部, 准教授 (00332859)
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Keywords | 法教育 / 法制史 / 比較法文化 / 学校教員養成 / 教材開発 |
Research Abstract |
平成24年度分の実施状況報告書「今後の推進方策」で掲げた3項目に対応して、実施状況および得られた成果は以下の通りである。 教育現場等との「対話」について。①教育学研究科で担当する授業の枠組みで、現職教員の大学院生とともに、法の歴史や文化に関わるテーマを検討し、学校教育への活用について話し合う機会を得た。その成果として、12月には向山小学校(熊本市)にて、法廷構造の変化について授業実践ができた。②教員免許更新講習会において「法教育の現状と課題」というテーマで講習を実施した。その準備の過程で県弁護士会以外に法務局、司法書士会、行政書士会に法教育の実施状況について照会し、受講者に取り組み状況について伝えることができた。講習会全体の成果については熊本大学教育実践センターの紀要に掲載した。③教員養成課程の学生に対して。中学校社会科教員免許取得者対象の授業で、県弁護士会法教育委員会や熊本県消費生活センターに出前授業を実施していただくことで、教員育成段階からの法教育に関する理解と関心が深まった。 国際社会レベルでの法関連教育に関する研究について。法教育ワークショップから、以下の知見を得た。イギリスやアメリカの一部の州では、生徒間で問題を解決するという「ピア・メディエーション」の取り組みが実施されていること、ただし、成果や評価は分かれること。成果としては、教育学部の授業に導入し学生の意欲を引き出せた。 法制史や比較法の立場から「できること」を明確にする取り組みについて。向山小学校における授業実践は、既存の教材例に基づいてはいるものの、それに加えて授業で扱った西洋中世の裁判や熊本の地域の実情にも配慮した授業実践となり、児童・生徒が積極的に発言しやすい授業となった。この成果につういては論文を作成中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画の実施状況は概ね順調ながら、成果の発表について以下の2点の理由により、上記の達成度とした。 まず、教育学研究科に学ぶ大学院生との共同論文は、年度内に投稿する予定だったが、研究授業の機会が2013年12月になって確保できたこと等から、法と教育学会誌への投稿が遅れている。ただし、次年度早々に投稿の見込みは立っている。 二つ目は、教育学部生との報告集作りである。計画の立案や実施について学生の自主性尊重のため、時間的な遅れが生じた。とくに、法の比較文化研究に関する教材開発に次年度への課題が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の三つの項目について課題を遂行する予定である。 ①前年度までの取り組みの中で、成果の見られたものについては、必要な改善を図りつつ継続および発展を図りたい。教員養成課程の学生に向けた県弁護士会法教育委員会等の出前授業、学生たちとの教材開発、教員免許講師講習会における法教育に関わる対話がこれに該当する。 ②今年度は本課題に関するまとめの年にあたるため、3年間のまとめというかたちでの成果について、口頭および論文での発表と議論の充実をはかりたい。 ③教員養成課程のカリキュラムに限定せず、市民的素養としての法の歴史や文化に関する教育のあり方について考察と実践を考えてみたい。 以上の課題遂行と関わって、法制史学会、比較法学会、法と教育学会、法教育関連シンポジウムに加え、開催日に抵触がなければドイツ法制史学会等の国際学会への出席および文書館や図書館での調査を予定している。
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Research Products
(1 results)