2013 Fiscal Year Research-status Report
談合を見抜く:談合の新指標による知事汚職前後の案件別・企業別入札額データの分析
Project/Area Number |
24653035
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414)
|
Keywords | 談合 / 入札 / 統計分析 / 知事 / 汚職 |
Research Abstract |
和歌山・福島両県の紙資料(入札(見積)執行調書等)を電子データ化する作業を進めてきた。案件別・企業別の入札価格をはじめとするデータ(予定価格、最低制限価格、落札者、落札金額、入札・契約方法、業種、調達区分、入札日など)は、入札(見積)執行調書(または入札等(契約)結果書、見積結果表、予定価格調書など)に記載されている。福島県は2005~2009年度の全ての工事・委託について、和歌山県は2004~2007年度の全ての工事・委託・物品・役務について、既に情報公開請求等を通じて、段ボール21箱分あった。研究補助者を用いて、これらの資料を1枚ずつ、オート・フィーダー付きのスキャナーで画像(tiff形式)として読み込む作業を、20箱については昨年度に済ませていたが、残る1箱を今年度に終えた。これらの画像ファイルは、大容量のデータを保存できるテラステーションに保存した。 次いで、文字認識ソフト(帳票OCR ver.6)で、画像ファイルから入札価格等のデータを抽出し、(高機能OCRソフトといえども正確性は100%ではないので)1つ1つ原資料と照らし合わせて確認・補正し、確定版電子化データを作成する作業を進めた。昨年度は和歌山県のごく一部についてのみしかできなかったが、今年度は、和歌山県については約2万枚全てを終え、福島県については全部で約2400件あるうちの4分の1ほどを終えた。 さらに、福島・和歌山以外の、既に電子化されている21府県のデータについても、データ洗浄し、区々な様式を統一して「統一的データベース」に登録する作業を進めた。今年度は、栃木県、岩手県、福島県(紙資料でなく元から電子ファイルで入手した分)、茨城県、新潟県のデータ登録が完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
紙資料を電子化した画像ファイルをOCRソフトで文字認識する作業は、昨年度の遅れが響いたため、予定通り今年度にほぼ終えることができなかった。但し申請時には平成26年度に行うことを予定していた「統一的データベース」の登録は、前倒しで今年度にも行えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
文字認識ソフトで、画像ファイルから入札価格等のデータを抽出し、原資料と照らし合わせて、確定版電子化データを作成する作業は、2014年5月時点で、福島県の2分の1(約1200件)しか残っていないので、これまでのペースから言って十分に終えることができる分量である。 福島・和歌山・宮崎の3県のデータに、3つの談合検出指標を当てはめる。この3県では2006年に知事が談合疑惑で辞職した。従ってこれら3県ではそれまで談合が多かったことが強く疑われる一方、それ以後しばらくは談合が少なかった可能性が高い。談合検出指標を適用した結果、2006年までは談合が検出されるが、2007年以降は談合を検出しなければ、談合検出指標が談合の有無を峻別できることが確かめられる。 上記以外の20府県データに、3つの談合検出指標を使う。案件毎の様々な属性によってデータを分割して談合検出指標を適用し、どのような条件下で談合が誘発されやすいのかを明らかにしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じたのは、事情により当初予定していたほど学会に行けなくなってしまったこと、研究補助者を本科研以外の業務に使う必要が生じたため予定していたほど謝金を支出しなかったこと、その結果それに伴う分析も全般的に遅れ気味となったためこと、書籍をそれほど買わなくてもよくなったこと、が理由である。 米国訪問を3回予定しているので、旅費で120万円を支出する。また引き続き研究補助者に作業を依頼するので、60万円を支出する。他は、書籍代などにあてる。
|