2013 Fiscal Year Research-status Report
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24653037
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠藤 乾 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
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Keywords | ヨーロッパ / 統合 / 逆統合 / 欧州 / EU / 危機 / 地域主義 / グローバル化 |
Research Abstract |
本研究は、欧州逆統合(European Disintegration)をテーマとし、政治体としての欧州の解体メカニズムを探求するものである。その際、欧州連合(EU)に焦点を当て、①2005年の憲法的危機から現在進行形のユーロ危機までの過程を経験的に跡づけながら、②ユーゴやソ連などの連邦解体の政治過程との比較の視座から比較政治史的な考察を交錯させ、③申請者が取り組んできた『ヨーロッパ統合史』を発展的に書き換えたいと考えている。本研究ではさらにそこから、2つの点で含意を汲み取れるのか見極めたい。一つは④思想的なもので、主権と逆統合との関わりを検討すること、もう一つは⑤政策的に、地域主義やグローバル化などの相互依存ガバナンスのあり方への含意を探ることである。 上記のうち①、④、⑤は本年度も引き続き深めることができた。すなわち、まず本年度は、近年の憲法・ユーロ危機をあとづけ、その意味を思想的および政策的に探った単著『統合の終焉―EUの実像と論理』(岩波書店、2013年、508頁)を出版し、全面的に欧州「統合」像の転換を世に問うたのである。 同時に③を試みた。ユーロ危機を通じて明らかになったヨーロッパ社会の内部における断層・断絶に着目し、社会・民主・機能的な正統性の三重苦として『ヨーロッパ統合史』の最現代史を描きなおす作業を終え、その増補版を刊行するにいたった(発売は次年度)。 これらにより、十分な成果であったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
見方によっては、計画以上に進展したといえる。というのも、単著『統合の終焉』を岩波書店から刊行し、さらに『ヨーロッパ統合史』の増補版の公刊にめどをつけ、近年の憲法・ユーロ危機をあとづけ、その意味を思想、政策的に探る作業にすでにめどをつけてしまったからである。 「おおむね順調」に留めたのは、相変わらず、ユーゴやソ連などの連邦解体の議論への参照が進まず、それとの関連で欧州逆統合をいまだ捉えられていないことによる。くわえて、論点整理した萌芽的なポジションペーパーの執筆が、体系的な著書の執筆を優先したことにより、遅れていることによる。 しかし、強調しておくべきは、ユーロや憲法危機について、本や論文をまとめたことである。これは研究の進展を意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大幅な変更は必要ない。欧州統合が逆統合と同時に進行するメカニズムを、他の事例との比較の中で明らかにしていきたい。次年度は、海外における類似の研究との接点をさらに厚くし、東アジアにも射程を広げる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の経費に108,457円の残額が生じたのは、研究費の節減・効率的使用を図ったためである。 次年度はこの研究の最終年度であることから、研究射程の拡張に向けての資源としてこれを投入する。
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Research Products
(18 results)