2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24653048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青柳 真樹 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
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Keywords | ネットワーク / 外部性 / 戦略的消費者 / 相互依存 / 価格競争 / 国際情報交換 / カナダ、インド |
Research Abstract |
25年度は24年度に引き続きメカニズムの内と外との関係について財を販売する企業間の価格競争の観点から以下の二つの課題について研究を行った。(1) ある財の価値が他者の同財の消費に依存する場合にその財は外部性を持つという。本課題ではそれぞれ外部性を持つ財を供給する2企業による価格競争を考える。消費者はネットワーク上に分布し、隣接する消費者が同一財を消費する場合のみ外部性が生じる。2企業がそれぞれの消費者に差別価格を提示し、消費者がそれらをもとに財を選択するときにどのような価格体系が均衡となるかについて分析を行った。外部性のない時にはすべての消費者に対する価格が限界費用と等しくなるはずであるが、外部性のもとでは各消費者に提示される価格はネットワークの形態と密接な関係を持つことが示される。多くの財は外部性を持ち、それらの財に関する企業間の価格競争は一般的である。本研究はそのような競争の均衡をネットワークの構造と関連づけた理論研究であり、25年度においては分析の精緻化を行い、論文をディスカッションペーパーとして公表するとともにいくつかの学会・セミナーで報告した。(2) 2企業が供給する2財の価値が消費者相互の私的な情報に依存する場合に、複数の消費者はどちらの財1単位を第1期か第2期のいずれかのタイミングで購入する。第1期には消費者は自らの情報のみに基づいて行動するが、第2期においては第1期における他者の行動から情報を得ることができる。企業は消費者のそのような戦略的行動を考慮したうえで各期に価格競争を行う。現実社会における消費者は常に他者の消費行動から情報を読み取ろうと戦略的に行動する。本研究は企業間の価格競争にそのような相互依存的消費者の戦略的な財購入を取り入れた理論研究であり、25年度は問題の定式化・分析を行い、論文の作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記課題1についてはほぼ完成し、現在は論文の最終調整の段階にある。上記課題2については最も困難と考えられた問題の定式化に成功し、基礎的な分析が終了した。現在論文作成の段階にあり、完成に向けて順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記課題1については間もなく査読誌への投稿へと進む予定である。上記課題2については論文の完成を目指す。すでに基本的な分析結果が得られているのでその拡張も考えていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として数値計算用のパソコンソフトの購入を計画していたが、論文作成の都合上25年度の段階では不要となった。 物品費として数値計算用のパソコンソフトの購入を計画する。
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