2012 Fiscal Year Research-status Report
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24653055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
藤井 賢治 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (20189989)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マーシャリアン / 経済学史 |
Research Abstract |
初年度の主たる成果は、第3回ESHET-JSHET(フランス、コルシカ・パスカル・パオリ大学;出張期間2012.9.11-9.17)での研究発表と、参加者との意見交換である。 題目Marshall’s economics and Marshallian Paradigmの報告を行った。マーシャル以後の経済学の推移を、ワルラシアンタイプのパラダイムが支配した1930-1970と、その後情報の経済学および組織の経済学が台頭してきたノン・ワルラシアンタイプのパラダイムの萌芽が生まれ出てきた時期とに大別したうえで、両時期においてマーシャル評価が大きく変化してきたことに注目した報告である。ワルラシアン・パラダイムが支配的になった1930-1970の時期に、経済主体が持つ社会性、および分業的生産がもつ組織的性格の二つの側面が理論世界から押し出されてしまったが、1970年代に入るとこの二つの側面が復活してきたことに対応して、マーシャル評価も「部分均衡論としてのマーシャル経済学」から「動態的経済学としてのマーシャル経済学」へと転換し始めたとの趣旨で報告した。通常の学史報告に比べて、新規性が高かったこともあるだろうし、私の報告もやや詰め込みすぎたきらいがあり、十分に趣旨が伝わらなかった感があった。 上記研究報告を踏まえ、学会誌への投稿論文草稿をほぼ書き上げ、これを下地にした学会報告を今年度5月末の全国大会で行う予定である。(報告題目「マーシャル的研究計画の可能性:技術競争と組織的知識生産」)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究発表を行い、これを基礎とした論文を仕上げるという一連の課題は一応クリアできた。 申請時点では大雑把な方向性にとどまっていたが、発表資料準備の過程で関連文献を読み進めていったことで、徐々に自らの主張の輪郭が明確になり、また主張を展開するための根拠、傍証を見出すことができた。大きく軌道修正することなく、本研究計画を進めることができそうな段階に進むことができた。 校務(土曜日講義)との関係で、興味の持てる研究会を見つけても参加がかなわなかった点を除けばまずまずの滑り出しであると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究計画に沿って、組織の経済学、法と経済学、そして制度の経済学がどのような展開をしてきたのか、そしてそれらの展開によってそれまでの市場中心的な経済理解がどのように修正されてきたのかを概観し、まとめる作業に着手する。 経済学史家の視野と基本理解では追いつかない部分が多分にあることが想定されるゆえ、それぞれの分野の専門家の知見に接し、必要であれば助言・助力を依頼する必要に迫られるかもしれない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費使用は、基本的には使用計画書に沿って行う。内訳は、旅費(国内外)、書籍・資料代そして専門的知見提供を受けた場合の謝金の3項目である。
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