2013 Fiscal Year Annual Research Report
放射線汚染に関する「除染取引市場」の創設と被災地復興の経済効果に関する研究
Project/Area Number |
24653057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗山 浩一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50261334)
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Keywords | 環境経済学 / 実験経済学 / 災害 / 廃棄物 |
Research Abstract |
東京電力福島第1原子力発電所の事故により放射線汚染の被害を受けた地域の除染が重要な課題となっているが、特に森林地帯は面積が広く膨大なコストが必要である。本研究の目的は、除染により回復された自然環境を売買可能なクレジットとして発行し、市場で売買することで除染の費用を回収する「除染市場」を創設し、その経済効果について計量経済学的手法により評価することで、被災地地域の地域再生に活かす具体的な方策を示すことにある。温暖化対策では排出量取引制度が注目を集めているが、本研究では、この排出量取引制度を放射線汚染の除染対策に活用する。 除染の現状について聞き取り調査をもとに,除染対策の経済効果を分析するための経済実験を実施した。聞き取り調査の結果,災害廃棄物の広域処理が進まないことが除染実施の障害となっていることが判明した。災害廃棄物の受け入れに対して住民の合意が得られずに広域処理が進まない事例が発生していた。そこで,災害廃棄物の受け入れに対する反発が生じる原因を経済実験を用いて分析した。経済実験では,災害廃棄物によって健康被害が生じる確率はきわめて低いものの,万一発生した場合は深刻な被害が生じる状況を実験室内で設定し,このような災害廃棄物の処理を受け入れるかどうかを分析した。その結果,被害が生じる確率が低くても災害廃棄物の受け入れに抵抗を示す状況が発生し,リスク回避行動による影響が観測された。この分析結果をもとに,除染対策の政策への応用について検討を行った。
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Research Products
(6 results)