2013 Fiscal Year Research-status Report
食の安全と貿易自由化の政策デザインへの計量経済分析の応用
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24653059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大槻 恒裕 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40397633)
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Keywords | 国際経済学 |
Research Abstract |
平成25年度においては、研究の目的及び実施計画に沿って1、平成24年度に行った消費者の食品安全意識アンケートのデータ分析を補強するために平成25年度に再度アンケート調査の実施と再分析、2、農産物における農薬基準、動物医薬品基準データによる多国間バイラテラルデータ分析、3、ベトナム・マレーシア企業データによる技術的貿易措置の企業行動への影響の分析、4、ベトナム企業データによる企業存続への効果の分析、5、ベトナム企業データによる安全規制、環境基準(ISO14001)等の企業業績への影響の分析、6、16途上国の企業データを用いた技術的貿易措置の企業行動への影響の分析を行った。 1については2回目のアンケートデータを加え、より精緻な分析手法を検討し結果を得た。とりわけ牛肉においてはBSE発生国や放射能汚染地域の生産に対する負の支払意思額、動物医薬品基準の準拠に対しては正の支払意思額が観察された。2については他の研究者のコメントなどを得ながら規制データの指標化を試み、さらに分析手法についてもより精緻な分析(サンプルセレクショングラビティモデルやポワソン分布最尤法によるゼロ貿易への対処)を行い、論文としてまとめた。3についてはアジア経済研究所の研究員の方々との協力により、ベトナム及びマレーシアのREACH規制などへの対処の実態を踏まえながら、企業レベルのミクロ計量分析を行い、アジア地域以外の途上国企業のデータで分析を行ったMaskus, Otsuki and Wilson (2013)やChen, Otsuki and Wilson (2008)と同様の結果を得た。4についてはFDIや政府の効率性がベトナム企業の存続期間にプラスの影響を与えることを示した。5については予備的な結果を得たが、結果が安定的でないため分析を継続している。6については技術的貿易措置の企業への費用増加、輸出促進の効果を実証し、論文を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要1~6の進展については以下のとおりである。 1については2回目のアンケートデータを加えより新しく精緻な分析により有用な結果を得た。今年度はさらに品目を増やし頑健性を高めて論文としてまとめワーキングペーパーを完成する予定である。2については、世界銀行ワーキングペーパーへの出版、及び査読雑誌への投稿を行った。3については結果をまとめアジア経済研究所のワーキングペーパーでの出版を行った。4については結果をまとめOSIPPのDPへの投稿、及び査読雑誌への投稿を行った。5については分析を継続し結果の安定を目指す。6については査読雑誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
上記研究実績の概要1~5の今後の研究の推進方策については、以下のとおりである。 1については再分析の結果をまとめワーキングペーパーでの出版及び査読雑誌への投稿を目指す。2についてはリバイズの要請があり、修正を行い再投稿する。3については査読雑誌への投稿を目指す。さらに、編著本の章としての出版も目指す。4については雑誌からの要請があれば再投稿を行う。5については分析の精緻化を行い、結果をまとめワーキングペーパーの完成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の中で高い知識を要する作業に対して研究補助を期待していた博士後期課程学生がH25年4月に学術振興会研究員となり、(アルバイト謝金が支払えなくなったため)高度な作業を研究代表者自ら行うことになったことで残額が生じ次年度に繰り越すことになった。 繰越額は主に研究補助アルバイトの新規雇用に使用する。研究補助アルバイトのうち1名は博士後期課程で高度な計量分析をやりこなせる学生を少なくとも週5時間で雇用する予定である。
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