2012 Fiscal Year Research-status Report
家賃補助の時間的変化が賃貸住宅居住期間に与える影響
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24653060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 家賃補助 / 居住期間 |
Research Abstract |
大阪市住宅供給公社から入手した住宅の特性、家賃構造、キャッシュバック制度の有無、世帯の所得、家族特性などのデータをもとに、キャッシュバックの額およびキャッシュバック期間が、特優賃に居住する期間にどのような影響を与えるかを、ハザードモデルを用いて計量経済学的に明らかにした。住宅供給公社および特優賃の家賃は、一般世帯向けと子育て向けによって違いがある。一般向けのものは入居者負担家賃が徐々に引き上げられていくのに対し、子育て向けは定額の家賃となっている。キャッシュバック制度は、2年間一定額の家賃が減額される仕組みである。ハザードモデルを用いて、借家からの退出確率を分析すると、一般向けの場合、キャッシュバックを受けていた人は、キャッシュバック終了時期に退出確率が統計的に有意に上昇する。これに対し、子育て世帯向けでは、キャッシュバック受給は退出確率に有意な影響を与えない。したがって、期間限定の家賃キャッシュバック制度は、子育て世帯のようにもともと長期の居住が期待されるグループには、居住促進政策として有効である。一方、一般世帯の場合には、キャッシュバック期間中の居住だけを念頭においた世帯が入居するという傾向を高めると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、大阪市住宅供給公社から提供された業務データを分析データに加工し、入居者の居住期間別退出ハザードを算出、キャッシュバック制度が退出ハザードにどのような影響を与えるかを推定した。平成24年度に当初計画したことをすべて行った。また、平成25年度に行う予定であった、退出先を考慮したコンピーティングリスクモデルの推定にも着手している。こうした分析結果をもとに、論文の作成を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては、24年度に行った研究結果を論文にまとめ、学術雑誌に投稿する。また、平成24年度は、居住者側からの分析であったが、平成25年度は、部屋を単位として分析を行い、キャッシュバック制度が空室期間に与える影響を分析する。この分析によって、キャッシュバック制度が大阪市住宅公社の収益に与える影響を検討する。さらに、家賃補助スケジュールに関する選好を明らかにするために、一般の借家居住者を対象にインターネットアンケートを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インターネット・アンケート調査費1、000,000円、RA雇用費1,000,000円、論文の英文校正費、200,000円、 研究報告等のための旅費、200,000円、消耗品費 92,076円
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Research Products
(2 results)