2013 Fiscal Year Research-status Report
消費者とサプライチェーンマネージメント;新たな需給モデルの構築
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24653069
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
柴田 淳 大阪市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50281267)
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Keywords | 消費者の戦略的行動 / サプライチェーンマネージメント |
Research Abstract |
本年度は、理論分析とケーススタディーを行った。理論分析においては、オークション研究におけるひとびとの期待形成とその行動モデルを、サプライチェーンマネージメントにおける消費者の行動モデルとして応用することが可能かの検討を行った。いくつかの示唆は得られたが、戦略的行動モデルとして使用できるまでには至らなかった。今後の課題としたい。経営学の文献研究も行った。しかし、経営学においては、消費者の行動を確率分布としてみるものが大多数であり、それぞれの消費者が最適化することで戦略的な行動を行っているという本研究の趣旨に合うものはあまりなかった。こちらも今後の課題としたい。 ケーススタディーにおいては、海外市場の文献調査と現地調査を行った。昨年度に続き行ったフランス市場の調査では、商品カテゴリー別の調査を行った。昨年度の業態別調査で得られた結果をもとに、プライベートブランドとナショナルブランドの比率調査を行った。カテゴリー別にみた場合、業態間の差はほとんどなく、商品によって最適なオペレーションがほぼ確定していることが予測される結果となった。同様の調査をイギリス市場においても行った。こちらにおいても、前述と同様な結果が得られた。しかも、イギリス市場においては、業態の統合とも呼べる状況が進行していた。このことから、商品カテゴリーごとのサプライチェーンマネージメントの最適化が、さらに進行していることが予測された。これらの事例をもとに、日本国内における商品カテゴリーごとの販売戦略について、調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、理論分析は試行錯誤の繰り返しであった。しかし、経済学と経営学におけるどの分野の文献が本研究への応用として利用可能性が低く、さらにどの分野の文献が本研究への応用として利用可能性が高いのかについての一定に見極めを行うことができた。 ケーススタディーにおいては進捗がみられた。さまざまな商品カテゴリーにおいて、それぞれ最適なサプライチェーンマネージメントの手法が確立しつつあることが、海外および日本の事例から高い確度を持って予測することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、本年度と同様に理論分析とケーススタディーを同時並行で行う。 理論分析においては、消費者の戦略的行動モデルの確立を目指す。昨年度のケーススタディーの結果にみられるように、商品カテゴリーごとにサプライチェーンマネージメントの最適化が行われている可能性が高いため、理論分析においても、商品カテゴリーごとに消費者の戦略行動モデルが必要とされる可能性が高い。この方針で研究を進めていきたい。ケーススタディーにおいては、米国も含む他の先進国市場において、昨年度までに観察された現象を確認することができるか、調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度予算においては、欧米諸国の調査は2回に限られるため、次年度に予算を回す形とした。 次年度は、本年度繰り越し予算も活用することで、3カ国の海外市場調査を行いたい。基本的には、G7諸国を対象とする。予算に余裕があれば、アジア諸国での調査も組み込むことによって、ケーススタディーに幅を持たせることも検討したい。
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