2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミャンマー経済の発展可能性と今後の課題ーイノベーション・システム論からの考察
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24653072
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡本 由美子 同志社大学, 政策学部, 教授 (00273805)
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Keywords | ミャンマー経済 / イノベーション・システム論 / 対外経済政策 / グローバリゼーション / 産業政策 / イノベーション主導の開発 / 伝統産業 |
Research Abstract |
平成25年度は、以下の4つの研究実績をあげた。第一に、平成25年6月にヨーロッパで開催されたDRUID会議に出席をし、イノベーション・システム論の最新動向の把握を行った。 第二に、ミャンマーで第2回目の現地調査を行い、引き続き、ミャンマーの潜在的発展能力、及び、内発的発展能力の把握・分析に努めた。製造業では近年、外資系企業の進出が目立つグローバル型繊維産業の成長が著しいが、ミャンマー地場企業の潜在能力が高いと考えられる伝統的産業(織物や漆器産業等)、及び、農林水産加工業の発展潜在能力もまた高いことが明らかとなった。ただし、地場企業が中心であるミャンマーの伝統的産業のイノベーション・システムには問題が多いことも明らかとなった。また、先のイノベーション・システム論は理論的体系を構築するには至ってはいないものの、途上国のイノベーション・システムに内在する問題点をあぶり出し、開発のために必要な政策について整理をする枠組みとしては極めて有益であることも合わせて明らかとなった。 第三に、平成24-25年度の調査研究を踏まえ、政策的含意の導出を行った。現在、日本の対ミャンマー経済協力がODAを通して急速に展開されつつあるが、残念ながら、同国の特徴やニーズにあったきめの細かい協力とは言い難い。また、日本は広域FTAを通してもアジア途上国のニーズにあった十分な経済協力を主導しているとは言い難い。したがって、日本の対ミャンマー経済協力のあり方について再考をする必要性があると結論付けた。 第四に、上記分析結果に基づき、”Toward a New Approach to ‘Low-Tech Industry’, Innovation and Development: Capacity Building through Tourism Promotion”と題する論文を執筆し、2014年10月末にエチオピアで開催予定の第12回Globelics世界大会への参加を申し込んだ。
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