2012 Fiscal Year Research-status Report
医療分野におけるサービス的側面の把握と評価に関する実証的研究
Project/Area Number |
24653085
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奥村 昭博 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (70571256)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱野 強 島根大学, プロジェクト研究推進機構, 講師 (80410257)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 経営組織 / 公的サービス / サービス評価 |
Research Abstract |
本研究は、あらゆる領域において非常に関心が高まっている「質」に焦点を置き、なかでも医療におけるサービス的側面の科学的な解明とその成果の現実的な適用を目指すことを全体構想として、患者への医療受療後の調査を通して医療のサービス的側面の定量的な把握と評価を可能とする測定ツールの開発を具体的な目的とするものである。 本年度においては、医療におけるサービス的側面に関する理論的な検討を中心に行った。具体的には、医療行為のどのような側面をサービス的側面として位置づけることが妥当であるかに関して検討を行い、さらには、関連性が考えられる他領域、なかでも介護、福祉、教育、行政などの領域におけるサービスの特性との比較を通して、医療におけるサービス的側面の概念的明確化とその論点の整理を行った。 またツールの開発に際しては、欧米諸国の先行する知見を基に検討を行ってきたが、既存データの再解析に基づく検討を行う中で、我が国における制度的、社会的、文化的側面や背景を十分考慮したものでない限り、構築されたデータにおける信頼性や妥当性は担保し得ないという結論に至った。 この点に関しては、諸外国における他の研究や実践的な検討においても、指摘されている点であり、こうした点を加味する形でのツール構築が求めたれている。そこで本研究においても、たんなる定量的、統計的な妥当性や信頼性を超えて、より実質的な形で我が国の実践現場において用いることが可能なツール構築を行う必要があるとの結論に至った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度においては、医療におけるサービス的側面に関する理論的な検討およびツールの構築を中心に行う予定であった。理論的な面に関しては、医療行為のどのような側面をサービス的側面として位置づけることが妥当であるかに関して検討を行い、さらには、関連性が考えられる他領域、なかでも介護、福祉、教育、行政などの領域におけるサービスの特性との比較を通して、医療におけるサービス的側面の概念的明確化とその論点の整理を行い一定の進展がみられた。 しかし、ツール開発に関しては、欧米諸国の先行する知見を基に検討を行ってきたところであるが、既存データの再解析に基づく検討を行い、また諸外国における先進的な研究や実践的な検討における知見を精査する中で、医療におけるサービス評価は、我が国における制度的、社会的、文化的側面や背景を十分考慮したものでない限り、構築されたデータにおける信頼性や妥当性は担保し得ないという結論に至った。つまり、たんなる定量的、統計的な妥当性や信頼性を超えて、より実質的な形で我が国の実践現場において用いることが可能なツール構築を行う必要があるとの観点から、より抜本的な形でツール開発を見直すこととしたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
たんなる定量的、統計的な妥当性や信頼性を超えて、より実質的な形で我が国の実践現場において用いることが可能かつ、我が国における制度的、社会的、文化的側面や背景を十分考慮した形で、我が国の医療サービスを適切に評価しうるツールの検討を、可能な限り早く完了し、データの試行的な構築を試みる。 試行的データ構築に関しての作業に関しては、これまで進めてきた関係協力機関との調整内容を確認するとともに、具体的な作業工程を確認し、速やかに実施することとする。また構築されたデータに関しては、先行する既存データとの比較はもとより、患者の個人属性、社会的属性、疾病と重症度がその評価に大きな影響を与えることから、その統制を個人の属性に関しては社会地区類型システムを用いて、疾病とその重症度に関しては診断群分類包括評価 (DPC)システムを用いて解析用のデータセットを構築し、解析を試みる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ツール開発の実施に関しては、その内容の再検討を行うため、定性的なデータ構築を行い、その検証を行うため外部の専門機関に委託して実施する。また、実際のデータ構築に関しては、外部の専門機関および研究協力者らを動員して実施するため、当該課題に関しての委託および謝金を予定している。最終的に構築するデータセットおよびその解析などに関して研究協力者に依頼する予定である。またこれら国内外の研究協力者などの関係者らとの調整に際して、旅費、会議費を予定している。
|