2013 Fiscal Year Research-status Report
医療分野におけるサービス的側面の把握と評価に関する実証的研究
Project/Area Number |
24653085
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奥村 昭博 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (70571256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱野 強 島根大学, 学内共同利用施設等, 講師 (80410257)
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Keywords | 経営組織 / 公的サービス / サービス評価 |
Research Abstract |
本研究は、あらゆる領域において非常に関心が高まっているサービスの「質」に焦点を置くなかで、特に医療におけるそのサービス的側面の科学的な解明とその成果の現実的な適用を目指すことを全体構想とし、医療受療後の患者への調査を通して医療のサービス的側面の定量的な把握と評価を可能とする測定ツールの開発を具体的な目的とするものである。 本年度までに、医療におけるサービス的側面に関する理論的な検討を踏まえ、測定ツールの開発に際して、欧米諸国の先行する知見を基に検討を行ってきた。加えて既存データに関しても再解析に基づく検討を行う中で、我が国における制度的、社会的、文化的側面や背景を測定ツールにおいて十分考慮したものでない限り、構築されたデータにおける信頼性や妥当性は担保し得ないという結論に至った。 この点に関しては、諸外国における他の研究や実践的な検討においても、指摘されている点であり、こうした点を加味する形でのツール構築が求められている。そこで本研究においても、たんなる定量的、統計的な妥当性や信頼性を超えて、より実質的な形で我が国の実践現場において用いることが可能なツール構築を行う必要があるとの結論に至った。 本年度は、この点を考慮した形で、研究の方向性を再検討し、我が国における医療サービスにおけるサービス的側面に関する概念構成の検討を踏まえた、測定ツールの再検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
たんなる定量的、統計的な妥当性や信頼性を超えて、より実質的な形で我が国の実践現場において用いることが可能かつ、我が国における制度的、社会的、文化的側面や背景を十分考慮した形で、我が国の医療サービスを適切に評価しうるツールの検討が必要であるとの結論に至り、当初の計画を変更する必要が生じたため。確かに既存の先行する測定ツールをそのまま用いてデータを構築することは、可能であったが、それが新たな知見を見出す研究として意義あるものとはならないとの結論に至った。 だがしかし、試行的データ構築に関しての作業に関しては、計画全体の見直しの中で実施することとし、これまで進めてきた関係協力機関との調整内容を確認するとともに、具体的な作業工程を確認し、速やかに実施することとする。 さらに構築されたデータに関しては、先行する既存データとの比較はもとより、患者の個人属性、社会的属性、疾病と重症度がその評価に大きな影響を与えることから、その統制を個人の属性に関しては社会地区類型システムを用いて、疾病とその重症度に関しても何らかの形で加味し、解析を試みることにより、より萌芽的な成果を求めることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
たんなる定量的、統計的な妥当性や信頼性を超えて、より実質的な形で我が国の実践現場において用いることが可能かつ、我が国における制度的、社会的、文化的側面や背景を十分考慮した形で、我が国の医療サービスを適切に評価しうる測定ツールを見出すために、測定ツールの本質的な内容に踏み込んだ形での検討を行うこととする。 こうした測定ツールの具体的な内容に関する検討を踏まえ、測定ツールの再構築を行い、これを用いて試行的データ構築に関しては早急に作業を行うこととする。データ構築作業に関しては、当初予定していた医療機関において、協力を得ることに関しては、了承を得ており、データ構築作業を実施することとする。またデータの規模に関しても、当初予定していたものよりも、大規模な形でデータの構築を試みる。 構築されたデータの解析に関しては、たんなる解析に留まらず、患者の個人属性、社会的属性、疾病と重症度がその評価に大きな影響を与えることから、その統制を個人の属性に関しては社会地区類型システムを用いて、疾病とその重症度に関しては診断群分類包括評価 (DPC)システムなどを用いて解析を試みることにより、より比較可能な形でのデータ構築が可能であると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既存の測定ツールをそのまま用いて、データ構築を行うことでは、新たな知見を見出しにくいため。 測定ツールの見直しを行い、データ構築作業を実施する。
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