2014 Fiscal Year Research-status Report
美しさを競争力とするデザインマネジメントの国際比較―知識ダイナミズムと文化的影響
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24653091
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
井村 直恵 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (10367948)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デザイン・マネジメント / 感性のデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、デザイン産業における知識ダイナミズムについて、焦点を当てる。本研究の研究関心は、多くのデザインマネジメントの研究が、主としてイノベーションやデザインと組織アーキテクチャの適合性などに焦点をあててきたものの、従来の研究があまり着目をしてこなかった美しさなどの感性を形にするプロセスを明らかにすることである。 本年度は、京都を中心とした和装産業に焦点を当て、和装産業の産業構造と、デザインプロセスについてケーススタディを実施した。和装産業の先行研究は、産業論的に実施されているものがほとんどであり、そのデザインプロセスに焦点を当てた研究は少ない。長期的に、時代を超えて美しいと感じるデザインを創出し続ける組織力、組織プロセスについて、千總にヒアリングを実施した。 並行して、美しいと感じるデザインと、革新的なデザインの開発過程がどのように違うかについて、ワークショップを通じて明らかにした。調査の結果、美しいデザインの開発過程と革新的デザインの開発過程では、美しいデザインの開発過程では、メンバー各々の持つ美しさという抽象概念の表現方法について、すり合わせをする時間が長く、実際の作業時間は短いが、革新的デザインにおいては、概念すり合わせにかける時間は短く、自律的な分業が行われ、分業の成果を持ち寄って再意味付けが行われることで、当初予定していた概念枠組を超える意図せざる結果がもたらされ、それが革新性と位置付けられることが明らかになった。 美しさという感性を形にするプロセスでは、上記のように革新的デザインとは異なるプロセスが求められるため、美しさを表現する企業においては、イノベーションとは別の観点からデザインプロセスを捉える必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
美しさという感性をデザインする過程は、多くのデザインプロセスの研究が焦点を当てるイノベーションプロセスと異なる点について、実験やヒアリング調査をもとに指摘した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに表出した分析モデルを基に、数社のデザイン産業に対してヒアリングを実施予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究の結果、新たな分析モデルを立案した。このモデルに沿って、次年度中に実証研究を行なうためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
デンマークのテキスタイル産業の実証調査を実施する。
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Research Products
(1 results)