2012 Fiscal Year Research-status Report
国際広告賞の産業界への影響に関する研究─変貌を遂げる国際広告賞の実態と影響力─
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24653099
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
佐藤 達郎 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (50611258)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Cannes lions / SXSW Interactive / Award Show / Marketing Conference / Creativity / Innovation / Advertising / Digital |
Research Abstract |
本研究は①国際広告賞と国際マーケティング・カンファレンスの実施の実態を明らかにする②国際広告賞と国際マーケティング・カンファレンス運用の近年の変化を明らかにする③国際広告賞と国際マーケティング・カンファレンスの産業界への影響を明らかにするの3点を目標としている。 当該年度に実施した研究実績としては、第一に59回目を迎えた広告業界で最もメジャーな国際広告賞であるカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルを、2012年6月に現地調査。研究代表者自身による調査に加え、現地において、あるいは帰国後も、関係者へのインタビューを行い、また文献調査を通して、上記①②③について、新しい知見を得た。その一部は、日経広告研究所発行『日経広告研究所報265号』に掲載記事としてまとめられている。 さらに、ツイッターがブレークするきっかけになったことで、近年にわかに産業界で注目を集めているSXSW(サウスバイ・サウスウエスト)インタラクティブを、2013年3月に現地調査。このSXSWは、広告業界・マーケティング業界に欠かせないものとなったデジタルを中心とするカンファレンスだが、カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルを始めとする従来の国際広告賞 / 国際マーケティング・カンファレンスとは運用の仕方自体が大きく異なっている。現地調査、インタビュー、文献調査によって、まだまだ情報の少ないこの分野での貴重な知見を得た。その一部は、2013年8月発行の『日経広告研究所報270号』に記事として掲載予定である。 主に上記2回の現地調査と、それに伴った定性調査および文献調査により、一定の成果が得られたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年6月のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルを現地調査し、それに伴った定性調査および文献調査を行うことで、幾つかの点が明らかになった。その成果は多岐にわたるが、主な点は以下の5点。①「作品のクリエイティビティ」から「仕組みのクリエイティビティ」への変化。②デジタル分野の重要性がより一般化。③ツイッター等ソーシャルメディア活用も重要性を増している。④国際賞に附随するセミナー等マーケティング・カンファレンスの要素が拡充、100近いセッションを開催。⑤日本の産業界においても同国際賞に関する勉強会が多数開催されその影響力は強い。こういった知見と分析を、日経広告研究所発行『日経広告研究所報265号』掲載の記事という形で公開することが出来た。 また、この分野で成長著しいニューウェーブであるSXSWインタラクティブに関しては、2013年3月に現地調査し、それに伴った定性調査および文献調査を行うことで、幾つかの重要な知見が得られた。こちらも成果は多岐にわたるが、主な点は以下の5点。①カンヌライオンズを始めとする従来のものとは運営の仕方に大きな違いが見られる。②運営方法は「整然」を意図しておらず、「イノベーションを生み出すカオス」を意図している。③実際にデジタルやソーシャルのイノベーションが生まれる場所として知られており、その運営方法は機能しているようだ。④広告会社も積極的に参加し始めており、その影響力は日に日に増している。⑤日本からも8つの会社がブースを出し、3つの会社がセミナーを開催。注目が高まっている。こちらについては、2013年8月発行予定の日経広告研究所発行『日経広告研究所報270号』掲載の記事という形で公開する予定である。 大きくは上記2点により、研究の目的は、現在まで概ね良好に達成されていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、アメリカを始めとする諸外国におけるアカデミックな分野でのこの分野に対する研究を取材するため、アメリカ広告学会(AAA)グローバル・カンファレンスに参加し、理論的な強化を図る。これは、2014年5月末~6月初めに米国にて開催予定。 さらに、この分野をリードするカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで、今年60周年記念大会として多くのスペシャルイベントが企画されていることから、こちらを現地取材。新たな情報・知見を得て、さらに分析を深めようと考えている。 上記2回の現地調査を中心に、それに伴う形で、定性調査および文献調査は引き続き行ない、研究を実行して行く。 当初計画していた定量調査については、予算との関連も考慮しつつ、どのように行い得るのか検討中である。検討結果によっては、現地調査・定性調査・文献調査を優先することとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度未使用額の使用計画:平成25年3月米国出張時の宿泊費、交通費、参加費に使用。(クレジットカードにて支払い、日本円換算を待っていたため、翌年度に繰り越しとなった。) 平成25年度の使用計画: 平成25年5月末~6月初旬予定の米国出張時の宿泊費、交通費、参加費等に使用。 平成25年6月予定の欧州出張時の宿泊費、交通費、参加費等に使用。
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