2013 Fiscal Year Research-status Report
医療観光における中国の潜在ニーズの発掘とそのインプリケーション
Project/Area Number |
24653103
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
菅 万希子 帝塚山大学, 経営学部, 准教授 (10612989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 圭 滋賀大学, 教育学部, 講師 (30555636)
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Keywords | 医療観光 / ウェルネスツーリズム / 日本ブランド / 潜在ニーズ / 鍼灸マッサージ |
Research Abstract |
【研究の成果】研究目的は、1.日本の医療機関以外を対象とした医療観光の学際的体系化と医療経営論への波及、2.主なターゲットの中国富裕層潜在ニーズ発掘、3.中国の潜在ニーズに対応する国内の医療観光資源調査と医療観光へのインプリケーションの方法、の3つである。前年度の調査結果を詳細に分析し、定量調査を設計実施した。併せて国内の観光資源に対する調査も行った。 【具体的な内容】ブランドデータバンクの分析では富裕層での日本製品のブランド力はそれほど強くないが、ニューリッチ層には強いと捉えられた。続いて、聞き取り調査では、日本の品質の高さやホスピテリティの質は評価され、価格が高くても品質の高いものが求められていた。続いて行った漢方薬、湯治、美容、伝統医療などの国内での医療観光シーズの調査では、湯治については、海外の観光客に対する関心はまだ醸成されておらず、漢方薬は輸入に依存している割合が高く、今後の進展の観察を続ける必要がある。サプリメントや化粧品では、シーズとして可能性は高い。しかし、積極的なアプローチをとる余地はまだあると考える。鍼灸マッサージなど伝統医療については、取り組み意向が非常に高かった。これらの結果をふまえ、中国の富裕層に対し質問紙調査を行い、ニーズ発掘につなげていった。詳しい分析は次年度に行う。 【意義・重要性】伝統医療のシーズとニーズが発掘できたことは、全く新しい視点である。伝統医療は、例えば太閤秀吉も利用していた歴史等と関連付けることもでき、観光場所の位置づけも付加することができる。シーズに取り組み意欲が高いことが新しい医療観光の体系化にとって実現可能性という視点から大きな意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ブランドデータ及び聞き取り調査の結果の分析を行い、続いて湯治、漢方薬などの国内医療観光資源の調査を行った。予定外の伝統医療における調査も、全日本鍼灸マッサージ師会の協力を得て、会員に対し行い、そこから、新しいニーズとシーズの発掘につなげることができた。その結果は、鍼灸マッサージ師会に報告書としてフィードバックすると共に、ディスカッションペーパーとして投稿し、役員会での講演の一部に分析結果のフィードバックを行うことが決定している。中国ブランドデータバンクの分析もディスカッションペーパーとして投稿予定である。調査の進捗、社会へのフィードバックも含め、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、中国で行った質問紙調査の詳細な分析を行い、ブランドデータバンクデータの分析、中国富裕層に対する聞き取り調査の分析、国内観光資源調査の分析とあわせて、研究結果をまとめる予定である。必要に応じて追加で調査を行う可能性も考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
漢方薬の対象が近年漢方薬の振興に取り組んでいる奈良県であったため、経費支出が小さくなった。 次年度必要に応じて、調査対象先を選定しさらに加えることも検討したい。
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