2014 Fiscal Year Annual Research Report
臨床会計学の構想:理論的知識と実践的知恵を結びつける会計専門知識の創造
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24653104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤邉 紀生 京都大学, 経営学研究科, 教授 (80278481)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 臨床会計学 / 会計実践 / 経営のPDCA / プロスコープ |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床会計学ワークショップを通じて,臨床会計専門家の活動は,(1)固有な有機的世界への弁証法的な関わりを主体的に担っていること,(2)臨床会計の専門家は身体性を伴う形で現実にコミットしていること,(3)管理会計が管理する会計という面の管理される会計という面の両面を持つ再帰的構造を内包していることが,という知見が得られた.この知見を,既存研究と結びつけて,臨床会計の専門家がクライアント企業に及ぼす影響について考察を行った。 この考察によって得られた基本構想は,臨床会計専門家がクライアント企業にコミットした結果として,経営のPDCAを回す管理会計能力の向上が図られ,それが企業のパフォーマンスにポジティブな影響を与えているという可能性であり,臨床会計専門家のコミットメント→経営者の意識改革→経営のPCDAを回す能力→従業員のモチベーション・役割理解→財務成果,という一連の因果関係である。平成26年度では,臨床会計の専門家に協力を仰ぎ,この因果関係についてサーベイ調査を行った。その結果として,上記の因果関係がおおむね支持される結果を得た。従来の研究では明確に示されることが少なかった「管理会計能力」と「財務業績」の関係がきれいに抽出されたのは,臨床会計専門家に協力してもらい,われわれが用意した尺度を用いて,かれらの観点からクライアント企業の評価を行うことでノイズの少ない信頼性の高いデータを獲得できたことがある。
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