2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24653110
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮内 泰介 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50222328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (90336701)
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Keywords | 市民調査 / 聞き書き / 地域資源発見 / 質的データ / アクション・リサーチ / 復興支援 / 災害 / まちづくり |
Research Abstract |
本研究は、まちづくり、環境保全活動、市民活動などに資する住民参加型の質的調査手法を開発することを目的とし、具体的には、(i)市民・住民が行う聞き取り、聞き書き、フィールドワークなどの調査手法開発(市民参加で取り組みやすくまた効果的な質的調査はどうあるべきか)、(ii)収集したデータの市民向け整理法の開発(取り組みやすく効果的な整理法)、(iii)整理した質的データの市民向け活用法の開発(質的データを使ったワークショップなど、まちづくりや市民活動に直結するような質的データの利用法の開発)の3つを、社会実験を織り交ぜながら進めることを目指している。(i)については、島根県隠岐郡中ノ島に住む人たちの聞き書きを実践し、さらに、昨年度に引きつづき東日本大震災の被災地である宮城県石巻市北上町における被災者の聞き取り調査を行い、ある程度成果を上げることができた。(ii)については中ノ島の聞き書き集(『海士伝2 海士人を育てる――聞き書き 人がつながる島づくり』)を地元のまちづくり会社と協働で作成するという作業の中である程度進んだが、課題もまた見つかった。(iii)についてはまだ着手できていない。まちづくりに資する質的調査の事例調査については、いくつかのケーススタディが進み、また、上記石巻市北上町における社会実験も進んだ。しかし、計画に挙げていた、研究者・実践家を集めてのワークショップを通して理論化や体系化を図るという作業はまだできておらず、今後の課題として残っている。アウトプットもいくつかできたが、まだ不十分である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(i)市民・住民が行う聞き取り、聞き書き、フィールドワークなどの調査手法開発については、島根県隠岐郡中ノ島に住む人たちの聞き書きを実践し、また冊子として刊行し、さらに東日本大震災の被災地である宮城県石巻市北上町でいくつかの支援グループ共同の質的調査を行う中で、ある程度進んだ。(ii)収集したデータの市民向け整理法の開発については、やはり島根県隠岐郡中ノ島や宮城県石巻市北上町での質的調査の中である程度進んだが、課題も残っている。さらに、(iii)整理した質的データの市民向け活用法の開発については、聞き書きの冊子化という形で一定程度進んだが、まだ不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の社会実験を踏まえ、代表者や分担者がかかわっている島根県隠岐郡中ノ島および宮城県石巻市北上でのまちづくりや復興のための質的調査をさらに進め、そこから、本研究の課題を達成していく。さらに、聞き書きなど市民による調査を行っているグループ・個人・研究者を集めるシンポジウムやワークショップを企画し、その方法論の確立と課題抽出につとめる予定である。さらに、いくつかの市民による調査の事例を掘り起こし、分析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費が予定より少なくて済んだため少額の未使用金が出た。 次年度に旅費等として使う予定である。
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