2012 Fiscal Year Research-status Report
リスク社会論のための概念的フレームワーク構築とリスク化指標の抽出
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24653111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長島 美織 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (20241391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 純一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30216395)
金山 準 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (30537072)
山田 吉二郎 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (40091516)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リスク / 個人化 / サブ政治 / 公共性 |
Research Abstract |
本研究は、リスク社会論のための方法論の構築と社会のリスク度に関する指標を提案することを通して、リスク社会研究およびリスクマネジメントシステム開発のための基礎を提供することを目的としている。このため平成24年度は、「リスク社会論のための概念的フレームワークの構築」という研究課題をターゲットとした。リスク社会とはどのような社会か?社会的リスクとは何か?現代のわれわれの社会はリスク社会と言われているがそれは正しいのか?を検証することを可能にするような概念構造を提案するため以下のような検討を行った。A) ベックのリスク社会論における主要概念の洗い出しとして、個人化、サブ政治、再帰性、民主化、階級などの概念について以下の検討を行った。B) 思想的系譜を探る→隠れた概念の探り出し構築としてA)で抽出したそれぞれの概念についてその概念のもととなる思想的系譜を探った。個人化←準拠集団論(マートンなど)からの検証:地域集団や環境運動、市民運動、フェミニスト運動などにおける集団と個人の関係。公共性←ハーバーマス・アーレントの公共性との比較。再帰性←ギデンスなどの近代論および啓蒙主義・批判理論からの検証。サブ政治←科学論・科学政策論および現代国家論・福祉国家論からの検証。階級の消滅←マルクス主義理論への批判・反批判からの検討などを検討した。 C) 概念間の構造の整理としてB)で洗い出した概念の包含関係、関連性などを整理して、概念図として組織立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、リスク社会論のための方法論の構築と社会のリスク度に関する指標を提案することを通して、リスク社会研究およびリスクマネジメントシステム開発のための基礎を提供することを目的としていた。特に、平成24年度は、研究初年度として、リスク社会論のための概念的フレームワークの構築のための研究を行った。リスク社会とはどのような社会か、社会的リスクとは何か、などの問題観点から、各種の研究会や国際シンポジウムの開催等を行い、様々な観点からの議論を考察した。また、特に個人化、サブ政治、再帰性などについて、ベックの背後にいる思想家を意識することにより、隠れた概念の探りだしを行うなど、思想的系譜を探る研究を行っている。これは、まだ、今の段階では、著作物として結晶してはいないが、上の述べた国際シンポジウム等の研究交流を通じて、研究が深められており、上記の計画をおおむね順調にこなしつつあると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の研究を通して、明らかになってきた概念的関連性をもとに、今年度は、さらに具体的な研究を推し進める。特に、25年度は、24年度に検討した概念図が、現実の社会現象とどのように結びついているかを様々な事例を取り上げつつ検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
10135円は平成25年4月払い分である。
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Research Products
(6 results)