2014 Fiscal Year Research-status Report
国際学と教育学の融合に基づいた多文化共生教育推進のためのアクション・リサーチ
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24653113
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田巻 松雄 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40179883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 敏 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (10199870)
スエヨシ アナ 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (10431694)
森田 香緒里 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (20334021)
丸山 剛史 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40365549)
若林 秀樹 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (50601407)
重田 康博 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (60330958)
上原 秀一 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (70515965)
陣内 雄次 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70312858)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多文化共生教育 / 国際理解教育 / 総合的な学習の時間 / 外国人児童生徒教育 / 外国人人材の活用 / 国際学と教育学の融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度(H25)の研究では県内の全小中学校を対象に「国際理解教育」と「総合的な学習の時間」に関するアンケートを実施し、2つの大きな課題を把握していた。1.外国語(英語)など新しい教育活動の導入に伴い、児童生徒が多文化理解を考える有効な活動が設けにくくなったと感じる教員が多い。2.総合的な学習の時間を利用して国際理解教育を実践しようとしても、現場だけでは社会ニーズに合わせた教育活動を計画する事が難しいと感じている教員が多い。 上記の現状把握を通し、学校において効果的な国際理解教育を進めたいという教員の意欲と、大学において多文化共生や外国人児童生徒教育を専門とする教員のスキルを融合を図り、多文化共生教育推進のため二つの実践をおこなった。 一つは、佐野市立城東中学校1年生クラスを対象に、学級担任・大学教員(教育学部)・大学院生(フィリピン国籍)の協働による、総合的な学習の時間における国際理解教育の授業である。フィリピンに関する理解を深めたあと、大学院生が年少時日本に来てからの体験を語った。また、フィリピン語講座の時間も設け、学級に在籍するフィリピン籍女子生徒の活躍の場も創出した。 もう一つは、上三川町立上三川中学校2年生全員(4クラス)を対象に、国際理解教育担当教員(英語科)・大学教員(国際学部)・大学生(ブラジル国籍)の協働による、総合的な学習の時間(2時間)における国際理解教育の授業である。100名を超える生徒との一斉授業となり、前述の実践と同様にブラジル理解や大学生体験談のほか、ブラジルに関するゲームで楽しんだり、大学教員による外国人児童生徒教育の現状を聞き、生徒たちが同世代として考える機会を創出出来た。 実践先の中学校二校からは、「現場教員では出来ない実践が体験できた」「今後の教育活動に参考になった」などの意見が聞かれ、有意義な多文化共生教育推進の実践が出来たと感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は研究メンバーがそれぞれの専門分野を提供し合いながらの勉強会、2年目は小中学校現場での課題を把握するためのアンケート調査、そして3年目の学校現場での協働授業実践へと、目的を明確にしながら計画的に研究が進められた。実践授業の計画にあたってもメンバーによる多岐にわたる視点での検証をおこない、学校教員と大学教員が協働授業をおこなうという新たな実験に見合うだけの授業計画が作成かつ実行できた。 授業に関する手応えとしては各中学校教員の意見もさることながら、それぞれの授業後におこなった全生徒対象のアンケート結果に現れていた。単に知識が広がったとか楽しかったというだけの意見は少なく、外国人児童生徒教育の問題について「同世代として考える機会ができて良かった」や、フィリピンやブラジルと日本との関係を学ぶことにより「自分が常に世界とつながっているという視点を持つことができた」など、従来の活動では得ることのできなかった教育効果を実感することができた。 反省点としては、小中学校あてにアンケート調査をしておきながら、小学校における授業実践ができなかったことが上げられる。この点については事業期間延長が承認された4年目において、これまでの実践の反省点を生かしつつ実施したいと考えるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
H26度に実施した中学校現場における二つの実践授業について、本研究の目的に照らした検証をおこなうとともに、そこで出た課題や反省を取り入れた新たな実践授業を実施したい。可能であれば、中学校に加えて小学校においても実施を考えているが、どこの学校現場も年間教育計画は立て込んでおり、協力校の調整によってはどちらか一つの実施となることもある。 総合的な学習の時間を生かした、学校現場教員と大学教員による国際理解教育授業実践の例はまだ少ないため、本研究メンバーでの最終的な協議を経て、今後の取り組みに参考となる文献として記録を残したい。
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Causes of Carryover |
本研究において大きな目標としていた、学校現場における国際理解教育の授業実践が、協力校の事情などで年度末に近い時期に実施することとなった。そのため、実践記録を十分に検証する時間を設けることが困難になり、検証を通した課題や反省を踏まえた新たな実践をおこなう余裕もなくなってしまった。そこで、予算の一部を次年度の繰り越し、前年度おこなった実践授業の検証と新たな授業実践をおこなうことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実施した授業実践を検証し新たな授業実践を試みるためには、さらなる関連情報収集や調査実施が必要となる。また、今後の取り組みに参考となる文献として記録を残すために、必要経費を計上する必要がある。
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