2013 Fiscal Year Annual Research Report
ボランティア行動の規定要因-宗教性と利他主義による国際比較モデルを目指して-
Project/Area Number |
24653117
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 亮 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00214677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30362750)
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Keywords | ボランティア行動 / 宗教性 / 利他主義 / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究では欧米での多くの研究例はあるにもかかわらず、日本では宗教(とくに新宗教)への偏見からか従来取り上げられることが少なかった「宗教性」と「利他主義」に注目し、質問紙による調査を行い、ボランティア活動の規定要因を明らかにし、日本国内にとどまらず、海外の国と比較研究できる基盤の構築を目指した。そして、人々の社会意識、地域活動と教育の観点から、より多くの人が積極的にボランティアを行う成熟した「思いやり・助け合い社会」を作っていくにはどうすればよいかという課題に答えることも目的とした。 平成25年度は、24年度に実施した質問紙調査のデータを分析し、東北地方の神社やお寺の地域での活動を調査し、質問紙調査データの分析結果の解釈に役立てるなどし、3月に研究会を開催し、それらの結果を報告して宗教とボランティア行動の研究と実践を行っている研究者から意見をもらった。 研究会の時点で得られた知見は、1) 欧米の実証的研究から導かれている社会階層、社会関係資本、宗教の3側面からなるボランティア活動の規定要因モデルは、日本においては、宗教性の適切な測定によって、適合する。信仰の有無や寺社への参拝頻度にとらわれず、「宗教的な心」の大切さや感謝の念、利他主義などがボランティア活動の規定要因として重要である。2) この「宗教性」は、日本特有のものではなく、キリスト教を中心とする欧米の人々にもみられる「宗教性」であり、この「宗教性」を用いることで、日本と欧米をボランティア行動に限らずさまざまな領域で同じモデルで、比較研究することができることがわかった。 感謝を中心とする弱い超越性の「宗教性」は、子どもの学校教育、家庭での教育においても取り上げることが可能であり、教育の場におけるボランティア活動とも連携すれば、ボランティア行動の促進に結びつけることができる可能性がある。
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Research Products
(4 results)