2014 Fiscal Year Annual Research Report
原爆はどのように語られてきたのか-ロスアラモスで問う新たな歴史
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24653124
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
桝本 智子 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (00337750)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 原爆 / ロスアラモス / ヒロシマ |
Outline of Annual Research Achievements |
原爆の歴史をいかに次世代に伝えていくのか、をテーマに3年目は、ロスアラモスにおける「ヒロシマ」の展示と、若い世代にどのような方法で伝えていくことができるのかを調査した。ロスアラモス・ヒストリーソサエティとの話し合いで、70周年を迎える2015年度に企画をし、翌年から広島平和記念資料館から展示物を借り受けロスアラモスの歴史博物館で展示をすることを目標にすることとなった。 ロスアラモスで「はだしのゲン」の上映とその後の参加者とのディスカッションからアニメを使った「対話」方法が有効的なのではないかという示唆を受けた。そこでさらに詳しく「はだしのゲン」についてとアニメーションの文化的解釈の仕方についての研究をすすめた。それらを踏まえて、ニューメキシコ大学で2回の実験的な訪問授業を行った。現地の学部生の授業で原爆に関するトピックを取り上げてもらい、歴史的認識の確認から「はだしのゲン」を見た上での認識の変化などについてのディスカッションの機会を得た。2学期にわたりそれぞれ違う授業で、各1回のディスカッションを行った。その後、提出してもらった学生のレポートからは、原爆を落とした「〝私たち″アメリカ人」という表現が多く見られ、核兵器の実態についての話をする場面では、必ず歴史的認識が大きな影響を及ぼしていることが確認された。また、その後のフォローアップから、この授業が核兵器に対する認識に変化をもたらしたことが分かった。学生との対話とレポートの分析をもとに学会発表を行ったところ、メディアを専門とする参加者から「戦争の記憶とメディア」、「戦争とポピュラーカルチャー」という視点からの対話が学生の世代には有効であるという意見が多く聞かれた。今後は経験のない出来事をいかに想像し、それを語り継ぐことができるのか、という点に焦点を絞り、さらに有効な伝承と対話の方法を研究する必要があることがわかった。
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Research Products
(3 results)