2012 Fiscal Year Research-status Report
震災に関する民衆知/民俗知の意義と応用可能性に関する比較社会学的研究
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24653125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
吉原 直樹 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40240345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 弘 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50164835)
松本 行真 福島工業高等専門学校, コミュニケーション情報学科, 准教授 (60455110)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | インドネシア 民衆知 / インドネシア 民俗知 / インドネシア 震災 / インドネシア 比較社会学的展開 |
Research Abstract |
研究実施計画にもとづいて、メンバー全員で福島県県立図書館および福島県県政情報センターで関連資料の閲覧および関連資料の収集をおこなった。また、別途研究プロジェクトで刊行した資料集『バリ島に生きる古文書』のうちの震災に関する民衆知/民俗知の部分を集成し、論点の抽出にとつめた。これらは、簡易の資料集として作成し、メンバー間で共有している。 個別の作業では、吉原が会津若松市の大熊町仮設住宅の住民にたいするアンケート調査で、また松本がいわき市の相双地区からの避難民にたいするアンケート調査で、それぞれ前記民衆知/民俗知の継承に関する項目を独自に立てた。現在、回収が終わり、その集約結果を検討中である。なお長谷部は、上記の作業とは別個に南相馬地区の災害文書の収集をおこなっている(現在、進行中)。 インドネシア・バリにおける関連調査は、今年度はパイロット・スタディに終始した。現在、そこで得た知見を整理中であるが、同時に、国内調査で得た知見とのすりあわせが次年度の研究実施計画との関連で喫緊の課題となっている。 なお、この間、吉原は日本学術会議社会学小委員会主催のシンポジウムおよび東北都市学会の2012年度大会シンポジウムで、成果の一部を中間成果報告という形で報告した。これらは『学術の動向』および『東北都市学会研究年報』でその抄録が掲載されることになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施項目は大きくは3つの部分、すなわち(1)国内資料調査、(2)国内アンケート調査、そして(3)海外資料調査からなる。 まず(1)であるが、当初実施計画の7割程度は達成できた。ただ、当初予定していなかった『バリ島に生きる古文書』の解読が新たに付け加わったためにこの部門の作業に若干の遅れが生じた。 次に(2)であるが、アンケート調査の調査票の作成自体はスケジュール通り進行したが、関連機関の許可およびインフォーマントとの折衝に予想外の時間を費やしたため、この部門の作業の進捗に若干の影響が生じた。 最後に(3)であるが、カウンターパートナーが病気になったため、事実上、パイロット・スタディ程度の作業に終わってしまった。 こうしてみると、(3)を除いて研究実施計画はほぼ達成できたと考えられる。また、初年度としては研究成果のとりまとめも順調であったと考えられる。次年度は(3)にシフトした実施計画が中心になるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、昨年度の実施計画のうちほぼ順調にすすんだ国内調査研究については、その到達点を踏まえた上で集約に向けての論点の抽出と補足調査(資料調査およびアンケート調査)の実施につとめる。遅れの生じた海外研究については、昨今の調査経費の高騰により、当初通り研究をすすめることができるかどうかは多分に不透明な部分があるが、国内調査研究との整合性を維持しながら、全体の調査計画に支障がきたさないよう鋭意進める心算である。 具体的には、国内調査については昨年度の調査を引き継ぐとともに、あらたな調査課題の抽出とそれにもとづく、資料調査およびアンケート調査をメンバー3人の役割分担を明確にした上で遂行する。海外調査については、カウンターパートナーと協議した上で、当初計画のより効率的な履行が可能となる体制を早期に組み、今年度末までに調査を終え、成果が出せるようにしたい。 また、2年間にわたる成果の最終集約に向けての方法(学会発表、論文集約等)と課題について検討する。同時に、さらなる研究の発展の可能性について追及する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初策定した研究計画が、その後の調査旅費の高騰などによって修正を余儀なくされている。とりわけ人件費・謝金をおさえるために、調査期間の短縮(→旅費の縮減)が避けられなくなっている。とはいうものの、これによって全体の調査計画がすすまなくなるといった事態は回避しなければならない。場合によっては、海外調査においてかなりの出費が予想されるアンケート調査の取りやめも考えられる。しかしその場合でも、適宜部門間の調整をして全体の調査計画に大幅な変更が生じないようにしたい。なお、成果のアウトプットに関連する経費はどのようなことがあっても確保し、最終集約へとこぎつけたい。
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Research Products
(4 results)