2014 Fiscal Year Research-status Report
急性期病院における患者特性を考慮した退院支援のあり方
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24653136
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 一郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (80179192)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 退院支援 / 急性期病院 / 在宅支援 / 医療介護資源 / 地域医療 / 医療連携 / 医療介護福祉 / 在院日数 |
Outline of Annual Research Achievements |
H24年度は過去の退院リスクスクリーニングデータ(2,761名)の分析を行い、リスクスコアの高い患者を介入対象とすることの妥当性および個別の項目として独居や介護力不足といった社会的要因が高い退院困難リスクとなることを明らかとした. 次いで、H25年度は本院の全入院患者および退院支援介入患者の退院後の療養環境につき分析し、地域医療機関への逆紹介が進んでいないこと、退院支援部門による支援が必須となる社会的要因による退院困難事例が増えていることを明らかとした. H26年度はH19からH26年度の8年間に7日以上入院した全患者72,126名につき退院先に関する分析を行った.全期間を通じ、自宅退院は90%程度であるが、その70%以上は自院外来への通院を伴い、長期的にみても地域への逆紹介は進んでいないことが明らかとなった.加えて、H26年度は地域の医療介護資源について各種データやアンケート調査をもとに分析した.新潟県内737診療所の分析では、緩和ケア、IVH管理、腹膜透析、人工呼吸、気管切開、人工肛門、人工膀胱に対応できる診療所は10%以下であり、特に離島や流出超過地域でより資源が乏しい傾向が認められた.療養介護資源については、いずれの医療圏でも施設系は比較的充足しているが、居宅系サービスは全体に不足しており、加えて極めて資源に乏しい地域があることが明らかとなった.H26年度は医療圏単位の地域医療ビジョンと生活圏単位の地域包括ケアを構築するという方針から地域の病床転換が進んでいるが、新潟県内131病院に対するアンケートにより、地域包括ケア病床は院内転床に利用されることが多く、必ずしも本来の目的であるsub/post acuteの受け皿とはなっていない現状が明らかとなった. 以上より、患者を日常生活圏域で生活を継続できるようにするための退院支援は患者の医学的・社会的特性のみならず地域毎の詳細な医療介護資源を考慮する必要があると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象とすべきデータにつき、退院リスクスクリーニング項目にH23年度以前とH24年度以降に変更が生じたことに伴い、研究計画の一部を変更し、分析対象をH24年度からH26年度の3年分のデータとした. H24年度は、H23年度までのスクリーニングデータの分析、H25-26年度は研究者の所属する病院における入院患者の退院後の療養環境につき分析した.更に、H26年度は地域の医療介護資源に関する調査と分析を行った. 研究計画の変更により、スクリーニングデータによる退院支援パターンの類型化等はH26年度まで未実施であるが、その間、上記の研究を行うことで、入院患者の医学的・社会的特性と必要とされる退院支援内容との関連を検討し、退院支援の必要度を明らかとする、という本研究の目的については一定の成果を得たものと判断している. 未実施の研究については研究期間を延長しH27年度に行う予定であり、研究の達成度は1年の研究期間の延長を要したため、やや遅れている、と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画のうち、1)退院リスクスクリーニングのデータにつき、患者特性とそれに対応した退院支援について類型化すること、2)実際に退院支援を受けた患者の支援内容とその評価、の2点については分析対象となる退院リスクスクリーニングデータが、H24年度の診療報酬改定に伴うスクリーニング項目の変更のため、H23年度以前とH24年度以後のデータの評価項目が異なることから一連のデータとして扱うことが困難となった.そこで、H24年度以降のデータを研究対象とし、H24年からH26年の3年間のデータを分析することとした. 上記1)および2)につき、スクリーニング項目が同一であるH24からH26年度まで3年間のデータを元にした研究をH27年度中に行う予定である.
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Causes of Carryover |
上記の研究達成度、今後の研究推進方策に記載のとおり、研究計画を一部変更したため、データベース構築のためのソフトウェア、研究補助にかかる謝金等について未支出となっている. また、本研究は当初H26年度で終了予定であったが、H24からH26年度までの3年間のデータを研究対象とすることから研究期間をH27年度まで延長したことにより最終年度に支出予定の論文印刷費は未支出となっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の一部変更や延長にともなう上記の未支出費目につき、H27年度に支出を行う予定である.
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