2013 Fiscal Year Research-status Report
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24653143
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
全 泓奎 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 准教授 (00434613)
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Keywords | 外国籍住民 / 多文化共生 / 多文化コミュニティワーク / 大阪 / 都市原住民 |
Research Abstract |
2013年度は、二つのテーマを中心に研究を進めた。まず、①本研究者の調査・研究の拠点である、大阪市内のエスニックコミュニティ等を中心とした外国籍住民の生活実態の把握や、定住支援に向けたコミュニティワークの課題を探るための調査研究を行った。同地域は、古くから在日コリアンや沖縄からの移住者の多くが居住していた地域であったものの、近年結婚や就労等により来日した新移住者の人々も増えている状況が調査の実施中に確認でき、その現状を把握しながらそれらの人々への定住支援、そしてホスト社会との共生に向けた尊厳と承認の保障に向けた新たなコミュニティ像を模索するための実践的な研究に基づいたアクションリサーチを行った。なお、当該調査に関しては、民間助成金等も併用しながら、中間報告として国際会議の学術雑誌等に論文として掲載する他、移民政策に関連した専門辞典にも掲載する等研究報告を行った。さらに、上記の民間助成金等を使い、当該地域でのエスニック文化講座の定例開催、そして、その成果を踏まえて同地域のエスニック地域資源をマッピングした『エスニックガイドマップ』の作成も行う等、実践的かつ地域貢献的な研究を行ってきた。 次に、②台湾の新北市にある都市原住民コミュニティ、そして台北市内の外国人移住者向けの外国人支援センターに対する基礎的な調査を行った。本調査に際しては、研究交流先である国立台湾大学や国立政治大学の関係教員へのインタビュー調査及び共同調査という形で取り組んだのだが、今回は本格的な調査実施に向けた基礎的な調査に留まった。本調査は、上記①の調査との比較という意味も含め研究最終年度に向けて東アジアの都市におけるエスニックコミュニティの状況を比較的に俯瞰した上で、アジア型の統合的な多文化コミュニティワークのあり方を模索するために実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までは東日本大震災に際して行った被災外国籍住民への聞き取り調査を中心にした成果報告に努め、雑誌論文の記事や関連書籍、国際会議等で調査内容の報告を行った。研究2年次に当たる2013年度には、本研究代表者の拠点である大阪市内での調査を中心的に進めながら、経験の共有に資するための調査を行ってきた。そのため、大阪市内の外国人多住地区の一つである西成区を中心に、区内のエスニックな地域資源の調査を行い、それらを活かした地域再生等多文化コミュニティワークの有り様を模索した。災害等が生ずる前より防災に対応していくには、それ以前のコミュニティの形成が必要と思い、そのための地域活性化の課題を地元の外国籍住民と共に模索した。その一環として、本学の地域連携センターとの共催によるシンポジウムの開催、そして、広く市民に理解してもらうためのエスニックガイドマップの作成配布を行った。その他にも、当該地域内に居住する結婚移住者等のための日本語教室に対するアクションリサーチ等を行う傍ら、台湾など東アジアでの多文化コミュニティワークの経験の共有回路を模索するための研究にも取り組んだ。これらの最終的なとりまとめを通じた多文化コミュニティワークのモデルに関しては、引き続き最終年度で取りまとめていくことにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度に当たる2014年度は、上記の二つの調査研究の成果を総括しそこから見えてきた研究の知見を中心に多文化コミュニティワークのモデルを探る機会としたい。とりわけ、西成における外国籍住民多住地域に関しては、当該住民の定住生活におけるニーズを捉えながら地域コミュニティの活性化と再生の課題を模索する。なお、東アジアでの多文化コミュニティワークの経験共有と今後の共同研究の糸口を模索するための近隣地域、中でも台湾や韓国に関して、引き続き調査を行いたい。以上の内容を総合するための国際シンポジウムを開催する。開催時期は、最終年度の補足調査等を踏まえ、本年度後半に海外共同研究者及び国内研究協力者、そして研究分担者と合同で企画し開催する予定である。なお、研究の最終成果に関しては、報告書として刊行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究成果の報告に研究費の比重を増やすため、旅費関連予算を他の研究分担金から充てたため。 関連文献の購入費:多文化コミュニティワークに関わる文献やそれらの課題に向けた実践的な取り組みに関わる文献の購入、旅費:国内外の先進的な取り組みをされている地域や団体へのヒアリング調査のための旅費、文字起こし費用:調査対象者から得た聞き取り内容のデータの文字起こしに関わる費用、専門家の諮問:研究会及びシンポジウム等の実施の際の関連専門家への講師謝金等
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