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2013 Fiscal Year Research-status Report

元受刑者の社会的包摂と刑事施設における社会福祉士の役割に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24653145
Research InstitutionAsahikawa University

Principal Investigator

朴 姫淑  旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (10556070)

Keywords受刑者の社会復帰 / 刑務所の社会福祉士 / 矯正と福祉との接点
Research Abstract

2013年度には、盛岡少年刑務所、秋田刑務所、山形刑務所、岡崎医療刑務所、加古川刑務所、笠松刑務所、金沢刑務所、福井刑務所、富山刑務所について、インタビュ調査及び見学を実施した。また、受刑者の社会復帰のための中心的支援機関である地域生活支援センターに対する調査を並行した。具体的に、岩手県・秋田県・山形県・兵庫県・岐阜県・金沢県・福井県・富山県の地域生活定着支援センターに対するインタビュ調査を行った。さらに、保護観察所や更生保護施設、自立準備ホーム等、出所後の支援施設に対する見学及びインタビュー調査を実施した。その他、矯正・更生・福祉の関係者が連携して受刑者の社会復帰を支援する地域の取り組みについても調査を行った。
とくに、医療刑務所や女性刑務所の実態を把握することができたのは、大きな成果である。医療刑務所では、障害を持っている受刑者や認知症を抱えている受刑者の問題が分かった。そうした受刑者に必要な支援は多岐にわたると思われるが、一人又は二人の臨時職員として配置されている社会福祉士や精神保健福祉士だけでは、支援の制約が多いことが浮き彫りになった。また、女性刑務所の場合は、男性受刑者を収容している刑務所に比べて、開放的な雰囲気ではあるが、女性だからこそ配慮されるべき点が多々あることが分かった。女性刑務所における刑務官と社会福祉士との協力関係は、他の刑務所より進んでいることが明らかになった。
2013年度の調査で、受刑者の属性によって収容される代表的な刑務所について、インタビュー調査が一段落した。また、学会発表を通して研究成果を検証しているが、その反応や期待が大きいことが見受けられた。最近、刑務所の実情や受刑者の社会復帰に対する社会的関心が高まる中で、引き続き支援の実態や課題を明らかにしていきたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず、刑務所の社会福祉士の役割と可能性については、これまでの調査を通してある程度明らかになったと思われる。社会福祉士の身分や雇用形態等は、全国的に共通性があるが、仕事内容などの役割については、刑務所ごとに差があることが明らかになった。その差を分析することによって、今後矯正施設における社会福祉士の活躍の可能性について見出すことができると思われる。
次に、受刑者の社会復帰のための矯正・更生・保護・福祉の連携は、現場の中で徐々に動きが現れているが、今後注意深く追っていく必要があると思われる。さらに、地域生活定着支援センターや受刑者の社会復帰に関連する施設調査を通して、受け皿としての地域社会の役割の重要性、一方で出所後の地域生活の困難さも目立っていることが分かった。
実際、研究を進める中で、社会福祉士という一つの専門職の役割と可能性を論じることだけでは不十分であることが分かった。受刑者の社会復帰には、単に関係者同士の連携では解決できない制度的制約が大きく働いていることが浮き彫りになった。本研究は、制度的制約の中での可能性を探ることが目的であるが、もう一度制度的制約を明確にする必要があると思われる。
その問題は日本の実態だけを見ても分からないと考えており、研究の新たな展開のため、今年度の国際比較に期待している。ただし、元々計画していた量的調査については、軌道修正が必要ではないかと思っている。なぜなら、現段階で実態把握のために、インタビュー調査以上の結果を期待できない点、また、研究結果の使い方によっては、制度的制約にもかかわらず行われている、各刑務所の先進的取り組みがむしろ画一化する恐れがあると判断するからである。量的調査の実施は、再検討して結論を出したいと思っている。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、本研究の最終段階であり、主に海外調査を実施することと、これまでの研究成果をまとめることである。まず、海外調査は、予定通りイギリスとオランダの事例を調査する予定である。調査時期については、長期調査ができる期間が限られていることや先方の都合によって、夏季か冬季か決める予定である。国際比較を通して、様々な事例を分析することと同時に、矯正の理念や各国における刑務所の位置づけ、受刑者の社会的包摂に関わる地域社会の差を相対化することを目標としている。
次に、これまでの調査対象は支援者を中心に行われたが、今年度は元受刑者に対するインタビュー調査に挑戦したいと思っている。元受刑者へのアクセスは相変わらず簡単ではないが、出所後の地域生活にどのような課題があるかについて、当事者視点で把握することを考えている。
さらに、今年度は、これまでの調査研究の成果をまとめる作業を本格的に進める予定である。本研究は、刑務所や受刑者を対象としているため、調査・分析には様々な制約がある。じっさい、活字化することにはかなりの配慮や注意が必要であるが、ある程度調査が一段落した時点であるため、適切な手続きを踏んで活字化していく予定である。
最後に、本研究の成果を関係者と共有する場を一度設けたいと思っている。これまでも受刑者の社会復帰を支援する関係者との繋がりは持っているが、研究成果を共有する場はまだ設けられなかった。本年度は研究のまとめの段階でもあり、地域の中で関係者が集まる場を設け、成果を確認する機会を持ちたいと思っている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 元受刑者の社会復帰における持続的関係支援2013

    • Author(s)
      朴姫淑
    • Organizer
      社会政策学会
    • Place of Presentation
      大阪経済大学
    • Year and Date
      20131013-20131014
  • [Presentation] 司法と福祉との融合と葛藤:刑務所における社会福祉士配置から2013

    • Author(s)
      朴姫淑
    • Organizer
      第9回社会保障国際論壇・第2回社会保障教育シンポジウム
    • Place of Presentation
      中国杭州浙江大学
    • Year and Date
      20130825-20130826

URL: 

Published: 2015-05-28  

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