2012 Fiscal Year Research-status Report
HIV陽性者を対象としたサポート・グループの実践過程
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24653146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
清水 茂徳 東日本国際大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50615961)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク |
Research Abstract |
ソーシャルワーカーには、当事者の体験そのものへの理解が求められ、物語的理解の延長上に「告知」やその後のケアがなされることが重要であると指摘されているが、HIV陽性者の語りからHIV感染告知が及ぼす影響を探求する取り組みが十分に行われているとは言えない。そこで、本研究ではまず、支援の主要な柱と位置づけられているサポート・グループ参加者の参加後自己記述式アンケートを集計分析し、HIV陽性者が抱えている生きづらさについて把握するとともにサポート・グループが果たす機能と役割について総合的に把握することを目的とした。 本年度は、研究目的を達成するために、申請者が東京都内で実践している医療従事者からの独立性を保ったHIV陽性者を対象としたサポート・グループ参加者の属性データおよび参加後自己記述式アンケートの集計分析を行った。平成16年度から平成24年度までの実参加者は97名だった。内訳は性別が男性88%、女性12%、年代は30代が50%でもっとも多く、20代が26%、40代が20%の順だった。感染経路は同性間の性的接触が81%、異性間の性的接触が16%、凝固因子製剤が1%、その他が2%だった。感染を知ってからの期間は1年以内が44%ともっとも多く、1~3年が18%、3年以上が38%だった。また、97%が通院しており、65%が抗HIV薬を服用していた。参加理由(複数回答)は「他の人の思いや体験を聞いてみたかったから」が87%ともっとも多く、以下、「他の感染者に会ってみたかったから」65%、「安心して集える場が欲しかったから」40%、「自分の思いや体験を話したかったから」38%の順だった。 研究の実施にあたっては、データ解釈の妥当性を確保するため、HIV陽性者を含む協力者のチェックのプロセスを踏み、またプライバシー保護の観点から、個人を特定できないよう十分配慮して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、HIV陽性者の語りからHIV感染告知が及ぼす影響を探求する取り組みが十分に行われているとは言えない現状を踏まえ、支援の主要な柱と位置づけられているサポート・グループ参加者の参加後自己記述式アンケートを集計分析し、HIV陽性者が抱えている生きづらさについて把握することを第一の目的とした。平成24年度においては、研究実施計画にそって、サポート・グループ参加者の属性データおよび参加後自己記述式アンケートの集計分析を行った。研究計画は概ね順調に進展しており、来年度は集計分析結果のさらなる考察を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究実施計画にそって、今年度の集計分析結果から、HIV陽性者が抱えている生きづらさへのケアにおいてサポート・グループが果たす機能と役割の実態について総合的な把握を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費については、今年度は物品費をはじめとする直接経費の使用が交付額を下回った。その主な理由は、単価の低下や必要物品の見直し等によるものであり、研究実施計画に大きく影響するものではないが、引き続き研究実施計画にそった適正な使用を行っていきたい。
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