2013 Fiscal Year Research-status Report
HIV陽性者を対象としたサポート・グループの実践過程
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24653146
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
清水 茂徳 東日本国際大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50615961)
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Keywords | ソーシャルワーク / サポート・グループ / HIV陽性者 |
Research Abstract |
ソーシャルワーカーには、当事者の体験そのものへの理解が求められ、物語的理解の延長上に「告知」やその後のケアがなされることが重要であると指摘されているが、HIV陽性者の語りからHIV感染告知が及ぼす影響を探求する取り組みが十分に行われているとは言えない。そこで、本研究では、支援の主要な柱と位置づけられているサポート・グループ参加者の参加後自己記述式アンケートを集計分析し、HIV陽性者が抱えている生きづらさについて把握するとともにサポート・グループが果たす機能と役割について総合的に把握することを目的とした。 本年度は、HIV陽性者が抱えている生きづらさへのケアにおいてサポート・グループか果たす機能と役割の実態を把握するために、HIV陽性者を対象としたサポート・グループ参加者の属性データおよび参加後自己記述式アンケートの集計分析において得られた結果を精査した。 回答者がこれまでに利用経験のあるボランティア団体等のサービスは「インターネット掲示板の閲覧」「インターネット掲示板への投稿」「会報や機関誌の購読・閲覧」の順であり、他者と対面せずに済むサービスの利用が上位を占めていた。利用に抵抗のあるサービスは「陽性者限定でない交流会」「陽性者限定でない講習会」の順であり、HIV陽性者以外の他者とHIVに関連する場に居合わせることに抵抗を感じていることが示唆された。一方、サポート・グループへの参加理由は「他の人の思いや体験を聞いてみたかったから」「他の感染者に会ってみたかったから」「安心して集える場が欲しかったから」の順であった。これらの結果から、回答者は他者と対面せずに済むサービスの利用経験が比較的多く、HIV陽性者に限定されない場への参加に抵抗を感じる傾向を持つ中で、他のHIV陽性者との対面や交流を安心して行える場としてのサポート・グループへの参加に至った可能性があると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、HIV陽性者の語りからHIV感染告知が及ぼす影響を探求する取り組みが十分に行われているとは言えない現状を踏まえ、支援の主要な柱と位置づけられているサポート・グループ参加者の参加後自己記述式アンケートを集計分析し、HIV陽性者が抱えている生きづらさについて把握することを第一の目的とした。平成25年度においては、研究実施計画にそって、平成24年度に得られたサポート・グループ参加者の属性データおよび参加後自己記述式アンケートの集計分析において得られた結果を精査し、サポート・グループの機能と役割の実態把握を試みた。研究計画は概ね順調に進展しており、来年度は日本国内における実践についての実態把握およびサポート・グループのプロセスと普及の可能性についての検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、研究実施計画にそって、今年度までに得られた結果を基にして、日本国内における実践についての実態把握およびサポート・グループのプロセスと普及の可能性についての検討を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費をはじめとする直接経費の使用が交付額を下回り、次年度使用額が生じた。その主な理由は、単価の低下や必要物品の見直し等によるものである。 今回の次年度使用額は、研究実施計画に大きく影響するものではないが、引き続き研究実施計画にそった適正な使用を行っていきたい。
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