2013 Fiscal Year Annual Research Report
障害者就労のパラダイム転換:障害概念の革新とソーシャルエコノミー
Project/Area Number |
24653154
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
花田 昌宜 (花田 昌宣) 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
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Keywords | 障害者就労 / 社会的企業 / 障害者権利条約 / 障害者差別禁止法 / 水俣病 |
Research Abstract |
研究の目的は、近年急速に進んでいる障害概念の転換に基づき、障害者就労の新たな可能性(第三の道)をソーシャルエコノミー(社会的経済あるいは社会的企業)に求め、国際的な制度比較および現場調査に基づき、日本国内における新制度生成の社会経済的条件を明らかにし、具体的提言を行うことにあった。 国内では障害者制度改革推進会議での議論において、社会的企業の可能性に関しても言及され、さらに生活困窮者自立支援の政策的枠組みで「中間的就労」という名目で社会的企業の可能性への期待が持たれた。ヨーロッパで近年急速に進展しつつあるソーシャルエコノミーが、わが国における障害者就労の進展に大きな可能性をもたらすのではないかという認識を反映している。そこで、国内での取り組みと海外での経験を重ねて日本において福祉と雇用の架け橋をなすであろう第三の道の生成条件を明らかにするための研究調査を継続した。 まず、調書にも記載したように障害者労働研究会を組織し、国内の種々の取り組みと政策動向に関して現場の実践家と経験の共有と情報交換につとめた。ついで、初年度に実施できず第二年度に延期していた欧州の社会的事業所の調査をフランスで実施した。先方の都合もあって春休みの時期に実施、特に北部リール圏域においてAlterEosグループをはじめ複数の事業所を訪問調査するとともに資料やデータを入手し、ケース記録をまとめている。くわえて、生活困窮者自立支援促進法にもとづく厚生労働省のモデル事業の開始に伴い九州圏内の中間的就労のケースに関する訪問調査を実施した。 これらの調査結果を総合して、変転する状況に対応する具体的提言を盛り込んだ報告書を現在とりまとめ中であり、完成後公刊する。
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