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2013 Fiscal Year Research-status Report

中国都市部における草の根NGOの地域福祉活動に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24653156
Research InstitutionOsaka Ohtani University

Principal Investigator

横浜 勇樹  大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (30369615)

Keywords社区服務中心 / インクルーシブ教育 / 農民工 / 流動人口 / 中国障害者団体連合会 / エンパワメント / コミュニティワーカー / 福祉NGO
Research Abstract

平成25年度は、北京市内で障害者とその家族の支援をおこなっているNGOについて、その発足から現在の状況を調査した。その結果、障害者支援のために提供しているサービスとして、リハビリ訓練事業、芸術療法、パソコンを利用した学習活動、家族会の組織化をおこなっていることが明らかになった。しかし運営面においてはNGOの運営資金の問題、スタッフの専門性の問題、インクルーシブ教育の展開などについて課題が明らかになった。
また今年度は、北京市内で活動を発足し始めている出稼ぎ労働者の家族を支援する会のNGOについても調査をおこなった。本組織は北京市内の城中村とよばれる地域で仕事をおこなっている出稼ぎ労働者の子女のための学習支援、生活支援をおこなっているNGOである。その活動は出稼ぎ労働者の親たちが海外からの基金によりNGOを発足させ、活動を実施していた。北京市郊外にNGOの活動拠点があり、そこでは2人の親たちが自分たちの子どもの学童保育を中心に活動をおこなっていた。また夏休みや冬休みなどの長期の休暇の際には、子どもたちはこのNGOを遊び場として訪れ、ここで学習活動などをおこなっていた。そしてこの活動を支えているのがボランティアであった。北京市内の大学生や社会人などが子どもたちの休暇時にNGOを訪れて、子どもたちの学習支援や遊びなど多方面で関わることで支援をおこなっていた。このNGOの活動の目的は主には、出稼ぎ労働者の子女の心のケアをおこなっている点にもあった。都市部で不慣れな生活をおくることを余儀なくされた子どもたちを、ボランティアや親たちが子どもたちの悩みを聞くことで離れた土地でも生活していくための支援を積極的におこなっていた。
今後はこれらの中国のNGOの研究を香港での活動と比較してさらにおこなっていきたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

平成25年度は中国都市部で展開している福祉NGOの活動について実態調査をおこなったが、近年、日中関係が悪化している中で、中国における研究者のネットワークを利用して調査活動を滞りなく遂行することができた。その1つは、障害者支援活動の具体的な展開について明らかになったことである。中国はその政治情勢からNGOが育ちにくいことが問題としてあるが、そのような状況にも関わらずNGOの主宰者は自らの資金とネットワークを活用しサービス利用者のエンパワメントを発揮できるように展開をおこなっていた。この成果は1つのNGOについて連続して調査をおこなうことで明らかになった。
また本年度は現代中国で問題となっている農民工の支援について、NGOを訪問調査することができた。そしてこのNGOのサービスを利用してる親たちからも話を聞くことができた。これは平成24年度、北京市内のNGOを調査したことにより新たに生まれた研究者のネットワークから調査に至ったと言う経緯がある。このように毎年、定点的にNGOを調査しそこで生まれたネットワークを有効に活用できていると考えている。
さらに本年度は、国際会議で研究成果を発表した際に議論を深めた香港のNGOの研究者と親交を深めることができた。このことがきっかけとなり、本年度は2回、香港におけるNGOの活動とソーシャルワーカーの位置づけなどについて実態調査をおこなうことが可能となった。以上のことから、本研究は当初の計画よりも発展して研究者同士のネットワークが構築され、また調査地域も広がりをみせている。

Strategy for Future Research Activity

本研究はこれまで北京市を主な調査地とし、そこで活動している障害者支援のNGOや出稼ぎ労働者の子女を支援するNGOなどを定点的に調査をおこなっている。経済発展が進展している中国では社会の発展とともに社会問題も噴出しており、毎年のように社会情勢が変化する中、引き続き北京市内のNGOがどのような活動をおこない、また発展させていくのか、あるいは新しい課題にはどのようなことがあるのか、について定点的に調査活動をすすめていきたい。
また、本年度は香港において活動をおこなっている福祉NGOについて実態調査をすることができた。当初の研究計画にもあったように、中国のNGOの活動を香港での活動を通じて今後の中国大陸のNGOの活動展開を推し量ることができると考えている。そのため、今後も引き続き、香港における福祉NGOの活動についてその成り立ちや事業内容、中国本土との関係性などについて調査活動をおこなったいきたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度は北京市内のNGOについて実態調査をおこなった。また香港におけるNGOの活動について調査をおこなった。本年度はこれらの調査から成果を得ることができ、その成果を中国国内の国際会議において発表をする予定であった。しかしながら、年度途中の夏季から中国を研究している研究者が中国国内において行方不明になる事態が生じるなど、中国国内で慎重に行動をする必要性が生じた。そのため当該国際会議への出席を取りやめざるを得なくなり、その費用分の残金が生じた。
平成26年度は今年度参加することが困難であった中国における国際会議に参加を予定している。そのために現在、河北大学の呂先生や香港のNGOの陳先生らから中国における国内情勢について随時連絡をいただきながら準備をすすめている。
また平成26年度も日中関係の情勢が改善せず、中国大陸での調査に困難が生じることも考えられる。しかしながら、私はこれまで香港のNGOと密接に連絡をとっており、これらのNGOの調査は可能な状況である。中国研究は自らの身の安全を第一に考えながらも当初計画通り研究を遂行することができると考える。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 中国都市部で萌芽する福祉NGOに関する研究2014

    • Author(s)
      横浜勇樹
    • Journal Title

      大阪大谷大学紀要

      Volume: 第48号 Pages: 42-55

  • [Presentation] The community care system for the elderly in Chinese urban areas2013

    • Author(s)
      Yuki Yokohama
    • Organizer
      The International Istanbul Initiative on Ageing
    • Place of Presentation
      イスタンブール
    • Year and Date
      20131004-20131006

URL: 

Published: 2015-05-28  

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