2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国都市部における草の根NGOの地域福祉活動に関する研究
Project/Area Number |
24653156
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
横浜 勇樹 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (30369615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 香港 / 台湾 / 社会福祉事業 / 国際情報交換 / 華僑 / 華人 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度は、昨年度の研究成果で明らかになった香港における福祉NGOの活動について調査をおこなった。文献による研究では、香港は1970年以後、政府による福祉サービスや医療サービスの監督と管理を強化し、多くの福祉サービスがNGOにより実施されていることが明らかになった。2003年の香港政府の調査によると、およそ9,300の福祉NGOがあり従業員数は25万人、香港の総労働人数の7.9%を占めるまでに成長している。またサービスの総支出は2002年度で香港のGDP比の1.8%を占めている。主な事業内容は、福祉サービスと社会サービスの提供である。NGOのサービスのうち、72.5%はNGOの会員向けのサービスを提供し、27.5%は一般市民へのサービスを提供している。また地域団体、業界団体、宗教団体もNGOと同様にサービスを提供している。加えて香港では教育サービスの多くもNGOによる運営であることが明らかになった。 実態調査では、香港の福祉NGOの中心的な役割を果たしている団体のHKCSS(The Hong Kong Council of Social Service)を調査した。HKCSSは、香港で最大の民間の社会福祉事業を推進する機構であり、第2次世界大戦後の1947年に香港において大規模な救済事業と社会福祉事業を実施する目的で設立された。そして現在、香港の400以上の福祉NGOの代表であり、実に3,000余りの福祉組織を通して香港において社会福祉サービスの90%以上を提供している。さらにHKCSSは中国本土、台湾のソーシャルワーカーの交流事業をおこなっていることも明らかになった。このことは新しい動きであり、今後中国大陸の福祉NGOの動向を見ていく上で重要と考えられた。 今後の研究においては、中国大陸、香港、台湾の地域間の関係性について調査をしていく予定である。
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