• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

ゲーム間の連結メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 24653161
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

高橋 伸幸  北海道大学, 文学研究科, 准教授 (80333582)

Keywords社会系心理学 / 社会的交換 / ゲーム理論
Research Abstract

非血縁間でも大規模な相互協力を達成可能であることは、人類の社会の特徴であり、様々な学問領域で中心的な研究テーマとして取り上げられてきた。そのような研究のほとんどは、それぞれ特定の状況を設定し、そこで相互協力がいかに達成されるかを扱ってきた。これに対し近年、人間は実際には同時に複数の状況に埋め込まれており、相互に独立した複数の個別の状況ではなく、相互依存性のある複数の状況のセットを分析すべきだという指摘がなされるようになった。先行研究に倣い、状況間が独立ではなくなることを本研究でも「連結」と呼ぶことにする(Aoki, 2001)。しかし、連結がどのような心理メカニズムで可能となるのかは、未だ明らかになっていない。そこで24年度は、実験室実験を行った。古典的ゲーム理論に基づくAoki (2001)は、社会的ジレンマ(SD)状況での非提供者に対しては社会的交換において協力しないということが共有信念として存在している場合、合理的な推論の結果として実際にそのような連結がナッシュ均衡となることを示した。しかし、通常人間がそのような複雑な推論を行っているとは考えられないため、そのような共有信念をブロックしても連結が生じるかどうかを、SDと2者間の囚人のジレンマ(PD)を繰り返すという実験を用いて検討した。その結果は、共有信念をブロックしてもなお、連結がはっきりと示されるというものであった。このような結果を引き出した心理メカニズムとして考えられるものの一つが、参加者は相手のSDでの行動をその人の内的属性に帰属し、そこからPDでの行動を予測する、というものである。そこで25年度には、同じ協力行動でも内的属性の推測が可能かどうかを操作した実験を行い、内的属性の推測が確かに連結を引きおこすこと、しかしそれ以外の要因が存在する場合には連結は生じにくくなることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

連結を引き起こす心理メカニズムを同定することが本研究の目的であるが、それに向かって着実に前進した。実証データにより、ゲーム理論で想定されるような先読みの計算は必要条件ではなく、相手の行動予測や印象評定が心理メカニズムの候補として浮上し、それらについて実証データで検討した。

Strategy for Future Research Activity

最終年度である26年度は、何が連結する状況としない状況を分けるのかを明らかにすることを目的とする。様々な状況にはそれぞれ固有の構造が備わっている。そのような構造のどの側面が連結を引きおこすのかは、未だ明らかにされてはいない。これまでの研究で扱われてきたゲーム状況は主にSDとPDであるが、これらはそもそも利得構造が似ているために連結してしまっていた可能性がある。そこで、26年度はまず、様々なゲーム状況のペアにおいて、どのペア間で連結が生じるのかを検討する。それにより、状況に備わっているどのような性質が連結を引きおこすのかが明らかになるだろう。そこで次に、そもそも全く連結が生じないような二つの状況の間で連結を生じさせるためには、何が必要かを検討する実験を行う。これにより、ゲーム間連結メカニズムの解明に向けて、大きく前進することが可能である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

24年度は場面想定法質問紙実験の実施と分析に予想以上に時間がかかった。その後に行った実験室実験は、実験状況を確定するまでは予定よりも時間がかかったが、実施自体は予定よりも少ない参加者数で終了することができた。そのため、当初予定していたが使用しなかった予算があり、これを25年度に繰り越した。25年度には、24年度中に準備していた、SD行動を内的に帰属可能かどうかを操作する実験を行い、更に26年度の実験の準備も行ったが、実験参加者数が再び予定より少なかったため、未使用額は更に26年度に繰り越された。
26年度には当初の予定よりも実験の数と参加者数を増やす計画であり、そこでこの繰り越された予算は消化される予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 社会的交換場面での行動決定における評判利用の抑制2013

    • Author(s)
      稲葉美里・高橋伸幸
    • Organizer
      日本人間行動進化学会第6回大会
    • Place of Presentation
      広島修道大学(広島県)
    • Year and Date
      20131207-20131208
  • [Presentation] 社会的交換場面における行動決定に評判が与える影響2013

    • Author(s)
      稲葉美里・高橋伸幸
    • Organizer
      日本社会心理学会第54回大会
    • Place of Presentation
      沖縄国際大学(沖縄県)
    • Year and Date
      20131102-20131103
  • [Presentation] Why do people selectively give benefits to cooperators in SD?2013

    • Author(s)
      Takahashi, N. and Inaba, M.
    • Organizer
      The 25th Annual Meeting of the Human Behavior and Evolution Society
    • Place of Presentation
      Loews Miami Beach Hotel (USA)
    • Year and Date
      20130717-20130720
  • [Presentation] Psychological processes of linkage between social dilemmas and social exchange.2013

    • Author(s)
      Inaba, M. and Takahashi, N.
    • Organizer
      The 15th International Conference on Social Dilemmas
    • Place of Presentation
      ETH Zurich (Switzerland)
    • Year and Date
      20130710-20130713

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi