2012 Fiscal Year Annual Research Report
小型脳活動測定装置による長期的視点取得判断促進への感情戦略の検討
Project/Area Number |
24653173
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 香 山形大学, 人文学部, 准教授 (50183827)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 長期的視点 |
Research Abstract |
短期的視点で自己利益を追求し長期的に多大な損失を被ったり利益を得られない後悔を招く結果を回避し、長期的視点により結果的に利益を享受し満足感や幸福感を増大させうる長期的視点取得判断の促進は、個人にとっても社会にとっても重要なことである。この点を踏まえ、本研究は、判断における長期的視点取得の促進法としての嫌悪系・ネガティブ感情、および、報酬系・ポジティブ感情喚起操作の有効性を検討することを目的とした。 この目的の達成のため、小型脳活動測定装置による脳内反応を測定する判断の実験研究を実施した。具体的には、仮想事態でねたみと誇り感情の喚起操作を行い、その操作の長期的視点取得促進法としての有効性について、各操作の下での判断傾向と前頭葉部脳活動の活性化状態を検討した。誇り喚起条件では、自己が長期的視点を取得して成功した経験をした後、再び長期的視点の取得が必要な事態で判断を行った。ねたみ喚起条件では、社会的比較が最もなされやすい他者が長期的視点を取得して成功した後、再び自己も長期的視点取得が必要な判断を行った。小型脳活動測定装置によって前頭前野の活動を同時に測定した。 結果は、ねたみ喚起条件のほうが長期的視点を取得した判断をする傾向がみられ、また前頭前野の活動との関連の可能性もみられ、長期的視点の必要な判断を行う場合、感情要因も影響している可能性、特に他者が長期的視点を取得した判断によって成功した場合に生じるねたみ感情の経験が、その後の自己の判断事態で長期的視点の取得を促す可能性が示唆された。従って、他者存在を顕在化させ、ねたみ感情等の社会的比較と関係するネガティブ感情を喚起させることが、長期的視点取得の促進法のひとつとして有効である可能性が示された。
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