2012 Fiscal Year Research-status Report
どのような学びが成人の日常的問題解決力を向上させるのか?認知的柔軟性の視点から
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24653174
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
木暮 照正 福島大学, 地域創造支援センター, 准教授 (70343077)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 教育系心理学 / 成人教育 / 日常認知 / 認知的柔軟性 / 生涯発達 |
Research Abstract |
本研究の主目的は,日常生活での問題解決力の基盤の一つである認知的柔軟性(文脈状況に合わせて視点や注意を柔軟に切り替えることができる能力)に着目し,成人の学習経験が認知的柔軟性の生涯発達変化に及ぼす影響関係を解明し,認知心理学的なモデルを提案することである。 研究初年度である平成24年度は,1,000名規模のインターネットモニタ(18-77歳)を対象とした予備的調査を先行実施した。フォーマルな学習の因子として「学校歴」と学校での学びに対する「態度」(「意欲度」「有用度」「満足度」)を聴取した。ノンフォーマルな学習の因子として公民館等が開講する「講座への参加頻度」と講座での学びに対する「態度」を聴取した。インフォーマルな学習の因子として図書館やテレビ,読書等を通じた「自己学習の頻度」と自己学習に対する「態度」を聴取した。日常的問題解決力としては,過去1年以内で経験した「困ったできごと」に対する対処策の豊富さを指標とした。現在分析を実施しているが,大まかな傾向としては,フォーマルな学習に対する態度は,問題を直接的に解決しようとする対処(問題焦点型)と自分の気持ちを落ち着けようとする対処(情動焦点型)に正の影響を及ぼす可能性が示唆された(つまり,学習に対する意欲,有用性評価,満足度が高いと,両対処を取る頻度が高くなる)。これに対して,ノンフォーマル・インフォーマルな学習に対する態度は,問題焦点型・情報焦点型の対処に正の影響を及ぼすことに加えて,問題の困難度が高くなると,さらに回避・逃避型の対処にも正の影響を及ぼす可能性が示唆された。これは,対処すべき問題が困難になると,さらに複数の対処策を用いる可能性を示唆するものであり,すなわち,ノンフォーマル・インフォーマルといった成人学習を進んで取り組んでいる者は豊富な対処策をとりやすいという可能性が示唆されたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2ヶ年目に予定していた大規模調査を先行して初年度に実施することができた。 その一方で,成人学習に関する講座や研修会,非公式の座談会等を通じて,インフォーマル・ノンフォーマルな学習を進めている成人学習者の方々と,非公式の意見交換は行っているものの,正式な発話データを取るには至っていない。これは今年度中に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2ヶ年目である平成25年度には,初年度の成果を踏まえて,成人一般を対象とした本格的な質問紙調査を実施するとともに,成人学習者を対象としたインタヴュー調査を実施する。 質問紙調査に関しては,初年度の取り組みからインターネットモニタを対象とした調査の有効性が示唆されたことから,質問項目のブラッシュアップを行った上で,引き続きインターネット調査を実施する予定である。なお,生涯発達的な変化をさらに詳細に検証することを意図して,成人以前のデータ(高校生等)を含めた調査も並行して実施する。 インタヴュー調査についても,初年度取り組んできた非公式の意見交換等の実績を踏まえて,質問項目を選別の上,できるだけ短時間で試行できるように工夫しての実施を検討する。 以上の研究成果を踏まえて,学習履歴・認知的柔軟性間の影響関係モデルを提案するとともに,効果的・効率的な生涯学習・成人教育のカリキュラムやより客観的な学習到達度の測定評価法に関する提言・提案を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インターネットモニタを対象としたWEBベースの調査を実施するための予算を初年度程度(35万円)見込んでいる。 また,インタヴュー調査の調査対象者,データ起こし及びデータ分析のためのバイト雇用費をそれぞれ見込んでいる。
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