2014 Fiscal Year Annual Research Report
親の職業がもたらす社会的圧力が子どもの人格形成・進路形成に与える影響
Project/Area Number |
24653175
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 有耕 筑波大学, 人間系, 准教授 (10273749)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 親子関係 / 職業 / 大学生 / 高校生 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,思春期・青年期にある子どもに対して,親の職業という所与の環境がどのような心理的環境を形成し,肯定的・否定的影響を与えているのかを明らかにすることを目的とした。親の職業は所与のものであり,親の職業によって生じる心理的環境を子どもは受け入れていくしかない。したがって,親の職業が子どもにどのような影響を与える可能性があるかを知ることは,子どもの心理的世界を理解する上で意義がある。 24年度の研究においては,大学生402名に対して自由記述式の質問紙調査を実施した結果,以下のことが示された。(1)親が特定の職業に就いていることに対する周囲からの反応は,おおむね肯定的な内容であった。(2)親の職業に対する意識も,おおむね肯定的であり,親の職業に対する嫌悪や反発は少なかった。 25年度の研究においては,中学生,高校生,大学生,総計1896名を対象に評定法を中心とした質問紙調査を行った。その結果, 親の職業は青年期の子どもにとって親子関係に影響を及ぼす要因の一つとなることが明らかにされた。子が親の職業を良いものと考えている場合には,親に対する肯定的感情が上昇することが示され,親子関係はより良好になると考えられた。逆に,親の職業を疎ましく思う場合には,親に対する肯定的感情を低下させてしまうことも示された。また,親の職種の違いによって子どもたちの心理的な経験には差異が生じており,親が社会的貢献度の高い職種に就いている場合に顕著な特徴が見られた。 26年度の研究では,親が医者の場合と親が教員の場合とにさらに焦点を当てた質問紙調査を大学生507名と高校生474名を対象として実施した。その結果,大学生では,医学部生・教育学部生にかかわらず,親が医者である場合に特徴的な結果が得られ,子の心理的環境に親の職業の影響があることが再度確認された。
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