2012 Fiscal Year Research-status Report
小学校における動機づけ理論に基づいた学習支援・学級支援プログラムの構築
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24653178
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中谷 素之 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60303575)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 学習動機づけ / 社会的目標 / 教室 / 児童 / 協同 / 学習指導 |
Research Abstract |
わが国では学力の保障、向上を大きな柱とした施策(例 学習指導要領)が示されている。一方で学力を支えている学習動機づけの問題について、十分考慮されているとは言い難い(例えば市川, 2001)。近年の教育心理学研究では、学習動機づけや学業達成の問題を、単に教材などの直接的な学習要因のみに帰するのではなく、対人関係や学級構造といった社会的文脈の影響を考慮したモデルが提案されている(例 Eccles, 2008など)。筆者はこれまで、多目標理論の立場から、学業的・社会的動機づけの形成に関する研究を蓄積してきた(例 中谷, 2007など)が、これらの知見を個別の教室での実践に活かす試みは、国内外を通じてほとんどみられない。そこで本研究では、教室の社会的文脈に基づいて、児童・生徒の多目標の視点から学習動機づけの促進について検討することを目的とする。 今年度の研究では、小学校高学年の児童を対象に、児童のもつ社会的目標が学業達成にどのような影響を及ぼしているのかについて、実際の授業場面での行動と照らし合わせて検討を行った。算数の協同的な学習場面において、社会的目標をもつ児童はどのような相互作用を行い、学習動機づけを高めているのかについて、質問紙という量的データと、観察による発話・行動の質的データとを組み合わせ、ミックス法による検討を行った。その結果、児童の社会的目標が他者との情緒的、課題的やりとりを促進し、学習への興味を引き出す可能性が示され、教室において学習動機づけを高める指導への具体的な示唆が得られたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
児童・生徒の学習動機づけの促進プログラムの構築の検討という目的の基礎的知見として、本年度の研究内容は必要不可欠なものであり、おおむね順調に研究が進捗していると考えられる。教育現場の協力の実際も踏まえながら、今後はより具体的に、児童・生徒の学習動機づけを高める指導、支援について、明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究では、昨年度の研究成果を踏まえ、児童の学習動機づけを促進するための学習指導、支援の在り方について、多目標理論の枠組みから、より具体的、実際的な知見を明らかにしていきたい。小学校高学年の児童だけでなく、中学校の生徒なども対象にし、また現場の教員にも協力を得て、教室における生徒の多目標の促進のために指導の実際について検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のような研究推進方策から、中学校の生徒を対象にした、調査や観察研究、および教員に対するインターネット調査を含めた調査研究に対して研究費を使用していきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)