2013 Fiscal Year Annual Research Report
小学校における動機づけ理論に基づいた学習支援・学級支援プログラムの構築
Project/Area Number |
24653178
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中谷 素之 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60303575)
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Keywords | 学習動機づけ / 目標理論 / 教室環境 / 教師 / 児童・生徒 / 学習指導 / ピアラーニング |
Research Abstract |
今日、児童・生徒の学力テストや学習習熟度に関する国内外の調査結果が注目され、わが国の児童・生徒の学習意欲の低下傾向は特徴的であるという指摘がみられる(例えば 市川, 2004)。教育心理学の観点から考えれば、結果としての学力(学業成績)を見るだけではなく、それを成立させている学力(学習意欲)に目を向けるべきであり、学習動機づけの問題がとりわけ重要になるといえる。 今年度の研究では、児童・生徒の学習意欲を促すための環境要因に注目し、教師や教室環境が児童・生徒の学習への関心や態度をどのように形成しているのかについて、近年の主要な動機づけ理論である達成目標理論(中谷, 2007)に基づいて測定し、実証的に検討した。 対象者は、全国の現職の小学校・中学校教員900名であった。調査方法はインターネット調査会社を介して行われた。調査内容は、先行研究(Tschannen-Morana, M., Woolfolk Hoy, A. 2001; Butler, 2007など)を踏まえて作成された以下の尺度であった。1.教室の目標構造(教師のもつ達成目標および関係目標)、2.教師の指導行動(熟達志向・成績志向・ピアラーニング)、3.教師のバーンアウト(情緒的消耗感・達成後の後退)、4.教師効力感 であった。その結果、教室の熟達目標が、児童・生徒に対する熟達志向的な指導やピアラーニングを導き、結果として自らの効力感にもプラスの影響をもたらしていることが示された。一方、仕事回避目標をもつ教師は、熟達志向の指導をせずピアラーニングにも消極的であることが明らかとなった。また、教室での関係目標は、熟達志向の指導やピアラーニングにも積極的な影響をもつことが示され、教室における熟達目標的、あるいは関係目標的環境が児童・生徒の学習意欲を高める上で重要であることが明らかにされた。
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