2012 Fiscal Year Research-status Report
教員養成教育におけるアーリーエクスポージャーに関する介入効果検証
Project/Area Number |
24653180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
小林 稔 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (70336353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 昌太郎 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50433090)
遠藤 洋志 琉球大学, 教育学部, 教授 (90369926)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
医学教育等では初年次の体験活動をアーリーエクスポージャー(早期臨床体験実習)として位置づけ、すでに10年以上にわたって実施している。アーリーエクスポージャーは、専門職に対する動機づけの向上とその後の理論知の獲得においてきわめて重要、且つ教育効果の高い体験活動と言われている。 本研究では、大学入門期における医学教育モデルの一部を教員養成教育に適用し、「教員養成系大学における初年次の学校現場体験がどのような教育効果を生むのか」、また、「初年次の模擬学校体験が教員養成のアーリーエクスポージャーと成りうるのか」について量的および質的評価により明らかにすることである。そこで1年次目の研究計画、すなわち平成24年度においては、既存の心理測定尺度(教職能力自己評定尺度IIと教師効力感尺度)によって1年次後期における基礎的データを収集・分析すると同時に、新たな評価ツール開発のための質問紙調査を行うことであった。これに関しては、データの収集がなされ、現在解析しまとめているところであるが、新たな尺度、つまり自己決定理論に基づく、教員志望者を対象とした動機づけ尺度については、教育心理学を専門とする教員の協力のもと、質問項目を精選している最中である。この自己決定理論に基づく教員志望者用の動機づけ尺度に関しては、項目構成を考える上で十分に検討しなければならない課題を有している。すなわち、外発的動機づけにおける「統合的調整」をどのように扱うかである。「外的調整」「取り入れ的調整」「同一化的調整」「統合的調整」とするのか、「統合的調整」を削除するのか。さらなる検討が必要である。作成した動機づけ尺度について、一部紹介すると、教員をめざす理由として、外的調整では、「まわりの友だちが教員をめざしているから」等々であり、統合的調整では、「教員は長い目でみると、社会を変えることができるから」等々である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年次目(平成24年度)の計画では、「既存の心理測定尺度(教職能力自己評定尺度IIと教師効力感尺度)によって1年次後期における基礎的データを収集・分析すると同時に、新たな評価ツール開発のための質問紙調査を行う。」であったが、質問紙調査が実施できていない点から「やや遅れている」に該当すると判断した。しかしながら、現在作成しようとしている「教員志望者用の動機づけ尺度」に関しては、国際的にもその概念を5因子にするのか、あるいは6因子に規定するのかは、意見の分かれるところで、やや研究が遅れても、慎重を期す意味は大きいと考えている。また、平成25年度においては、「アーリーエクスポージャーとしての3種類の介入プログラムを介入前後に実施する。また、教育効果検証のため、既存の尺度と新たに開発した尺度及び主観的評価の実施による量的解析を行い、加えて、インタビュー調査による質的解析を図る。さらに、前年度のデータと比較分析する。」としたが、これらについても、質問紙作成がやや遅れていることに連動し、今後、研究の進捗を加速させて実施しなければならないとの意識を持っている。場合によっては、3年目に介入研究の効果についてデータの収集と研究のまとめを一緒に行うなどの計画上の工夫も求められるのだろう。早期に改変した具体的計画を立てる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前項の現在までの達成度にも記したが、1年次目(平成24年度)の計画では、「既存の心理測定尺度(教職能力自己評定尺度IIと教師効力感尺度)によって1年次後期における基礎的データを収集・分析すると同時に、新たな評価ツール開発のための質問紙調査を行う。」であった。しかしながら、現在は「教員志望者用の動機づけ尺度」を作成している段階である。この「教員志望者用の動機づけ尺度」を作成する意義は大きいと考えている。すなわち、動機づけと行動は結びつくところが強いと言われているからである。具体的に例を示すと、内発的に動機づけられて教員を志望しているとするなら、その学生は幾ばくかの困難な自体に直面しても、ねばり強くがんばりその自体を乗り越えて行くと思われる。このように教員志望学生の動機づけを探ることで、量的な面での教員としての資質能力を判断できると考えている。したがって、早急に専門家からの意見を集約して質問項目を確定し、約500名程度の学生にアンケート調査を実施する予定でいる。また、アンケート実施後はすみやかに統計解析を行い、探索的因子分析ならびに検証的因子分析等で、尺度の妥当性と信頼性を明らかにしていく計画である。また、平成25年度においては、介入そのものはクリアにできないと考えられるが、アーリーエクスポージャーとしての類似のプログラムを選定し、試行的に実施する予定でいる。ただし、既存の尺度と新たに開発した尺度及び主観的評価の実施による量的解析を行い、加えて、インタビュー調査による質的解析を図る。これも前項に記述したが、質問紙作成がやや遅れていることに連動し、今後、研究の進捗を加速させて実施しなければならないとの意識を持っている。早期に改変した具体的計画を立てる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「教員志望者用の動機づけ尺度」の策定にあたっては、勤務している大学(京都教育大学)のみでは、教員志望のサンプル数が少ないため、且つ対象者の偏りをできるだけ排除するという意味もあり、複数の大学でアンケート調査を実施するため、研究打ち合わせ等のため国内旅費(沖縄や広島等)を使用する計画を有している。また、動機づけ尺度については、専門家(教育心理学)からの意見を聞き、慎重に質問項目を確定する必要があるため、これについても国内旅費(鹿児島や沖縄等)を使用するが、同時に、海外の学会や大学での動機づけ(特に自己決定理論)に関する情報収集を行う計画があるため、国外旅費の使用も考えている。また、アンケート調査の実施にあたっては、資料整理やデータ入力などで謝金が必要となる。
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Research Products
(6 results)