2013 Fiscal Year Research-status Report
教員養成教育におけるアーリーエクスポージャーに関する介入効果検証
Project/Area Number |
24653180
|
Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
小林 稔 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70336353)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 昌太郎 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50433090)
遠藤 洋志 琉球大学, 教育学部, 教授 (90369926)
|
Keywords | 教員養成 / アーリーエクスポージャー / 教員志望 / 動機づけ / 尺度 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、主に二つあり、その一つは「教員候補生の初年次における学校現場体験について、如何なる教育効果をうむのかを検討することである」また、二つ目としては「模擬学校や早期の学校体験に関して、教員養成のアーリーエクスポージャーとなりうるのかどうかについて検討することである」昨年度の報告でも記したが、平成24年度の進捗状況が若干遅れていたため、平成25年度においては平成24年度分の計画の一部をも含めて調査研究を実施した。その遅延部分も含めて具体的な実績について概要を説明すると、1点目は、介入調査の効果検証を図るための評価尺度を策定する段階において、より精緻化することであった。平成25年度中に自己決定理論に基づく教員志望動機尺度の開発を試みた。尺度の開発にあたっては約970名の教員志望者を対象に、性別や年齢、睡眠時間など17項目のフェイスシートならびに54項目から成る動機づけに関する質問に加えて、基準関連妥当性をみるための「自己効力感尺度」を用いた自記式質問紙を使用した。また、動機づけに関する質問文の冒頭の25項目に関しては、イングランドにおける先行研究と比較するために、英文を邦訳し問いを設けた。2点目については、すでに実施済の模擬学校実施時の教育効果を検討しつつ、新たに京都市立公立学校においてアーリーエクスポージャーとして4か月間の介入を実施した。教員志望学生が中学生を対象に授業等を試み、その教育効果を質・量の両面から検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的と計画を照合した際のこれまでの達成度について判断すると、「おおむね順調に進展している」と考えられる。その根拠であるが、前項の研究実績の概要欄でも記した通り、本研究には二つのねらいがあり、それらを順調にクリア(達成)しているからである。具体的に記すと、1点目は、教員志望に関する動機づけ尺度の策定が順調に行われたことであり、もう一つは、アーリーエクスポージャーとして教員候補生に学校現場体験を味わわせることで、教員養成教育としてどのような教育効果があるのかを検討することができたからである。したがって、平成25年度においてはこれら2点の目標が達成できたと言える。介入調査の効果検証に関して、さらに詳細を述べると、まず質的な評価の面からは、学校現場を体験した学生からのインタビュー調査が行われており、「達成した」と言える。質的調査ならびに評価から判明したのは、体験する前と体験する後を比すると、「学校」「教師」「子ども」に対する考え方が大きく変容するということであった。他方、量的な評価に関しては、「当初の計画以上」の成果があがったとも捉えられる。すなわち、計画段階では、「学校現場に限定した介入」を記していたが、質問紙のフェイスシートの欄に、学校現場以外の教師行動に関するチェックする欄を設けており、(例えば、塾でのバイトの経験など)教師・指導者行動として分析が可能になった点である。教員志望者の多くは、学生時代に塾や家庭教師などのアルバイトを入れており、学生の教師行動という現実的な状況に沿うと、それら(学校以外の指導者経験)の条件も含めたアーリーエクスポージャーを考える必要があると考えられる。よって、一部計画以上の面もあるが、総じて判断した場合には、おおむね順調と判断でよう。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には、研究実施計画通りに進めるが、一部、追加の分析も実施する。あらためて計画の詳細を記すと、昨年度、介入プログラムに参加した学生の教育効果がどの程度持続しているかを検討するとともに(これは計画の範囲内)、本研究で開発した「自己決定理論に基づく教員志望動機尺度」を用いて、動機づけの構造に変化がないかどうかを確認する(追加の分析)。また、3年間の総括的な評価を行うと同時に、研究の最終年ということもあり、研究成果を学術論文としてまとめ、さらには可能な限り多くの学会発表を行い、成果公表を複数回行う予定でいる。加えて、本研究を発展させるため、、課題を真摯に抽出するとともに、3年間の総括的評価を実施し、今後の発展的研究計画を構築する。
|
Research Products
(3 results)